延原泰子の作品一覧
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ユーザーレビュー
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スコットランドを舞台にしたこのシリーズは四半世紀前から書き継がれたものとなるが、ぼくがジョン・リーバス警部シリーズに出会ったのはここ一二年である。最近はハヤカワ・ポケミスを軸に、海外の小説を読むようにしている。何より翻訳が早いのと、受賞作や話題作や鉄板シリーズ作を中心に出版してくれる、実に安心でき
...続きを読むる版元だからだ。
ちなみに、ぼくがパソコン通信NIFty Serveの冒険小説フォーラムに入る少し前、早川書房ではロバート・B・パーカーを招き、その社屋にてぼくの前々SYSOP小城則子さん中心にフォーラムの有志が作家と出会い、挨拶をし、愛読書にサインをもらうなんて活動をやっていた。ぼくがSYSOPを引き継いでからも早川書房ではエド・マクベイン来日の折りに同じ機会を与えてくれた。ぼくは当時、新刊だった『ララバイ』と『ダウンタウン』にサインを頂き、マクベインその人の隣に座って片言の会話をして握手を交わさせて頂いたものだ。
海外ミステリの読者は読書界全般から見ればとても少数の範疇に属する者だとは思う。しかし、そうした少数ながらも根強いシリーズ読者へのサービスを怠らず、個性を守り続けている早川書房のような出版社の存在を常日頃有難く感じている。ましてや、本シリーズのように新しい一冊を手に取ったところからそのシリーズ主人公に惚れ込んでしまう、ぼくのように反応の遅い読者もいるわけで、地道にシリーズを続けてくれる姿勢にもまた感謝。四半世紀も続いているシリーズとなると、当然、最初から読み始めた読者ばかりではなく、途中から参加する人、作者の死後にシリーズに取りかかる人だっているわけで、それはそれで、時代と作品のずれ、それぞれの人生のどこで作品と出会ったか、などなどの要因こそが、読書に独特の風味や出会いの妙というものを加えてくれるものではないだろうか。
さて、閑話休題。前作『他人の墓の中に立ち』では敵対関係にあった内務調査官のマルコム・フォックスについてだが、実はそれに続いて『偽りの果実』に取り組むまで、彼が別シリーズの主人公になっていることをぼくは知らなかった。遅い読者の損なところだ。本作では、何とフォックスは内務調査(刑事が刑事の違法行為を取り調べる部署で、作品内では苦情課となっている)を離れることになるが、その最後の仕事として、三十年前の今はなきサマホール警察署での殺人事件の真相を調べることになり、そこに途中から在籍していたリーバスと組んで当時の刑事メンバーたちの不正に協力して当たることになるというのは本書の軸となるストーリーである。サマホール警察のチームたちの間では、当時、少々荒っぽいことをしてでも捜査を進めるのが当たり前とされていたらしく、彼らはいくつもの秘密を抱え込んでいるように見えた。彼らは自分たちを<裏バイブルの聖人たち>と呼び今は年齢を重ねそれぞれに刑事職からは引退したり転職したり死んでいたりする。<裏バイブルの聖人たち>は、実はそのまま本書の原題となっている。
英国からのスコットランド独立の是非を問う投票が行われるという時代背景のもと、スコットランド特有の歴史に触れつつ、作者はリーバスとフォックスと女性捜査官シボーン・クラークのトライアングル捜査陣がそれぞれに活躍してゆく姿を捜査模様を通して活写する。人間性をもかなり掘り下げながら、捜査手法の個性を明確にして、時にはぶつかり合い、時には離れ去り、その駆け引きや徐々に深まってゆく信頼やリスペクトといったデリカシーな心理描写もまた味わい深い。
捜査は進むが、あくまで内容は刑事ジョン・リーバスの生きざまが魅力的であり、古くからのハードボイルド読者の心をくすぐる。いくつもの事件と取り組みながら、徐々にすべてがある方向に収束し、そして都会の持つ光と影の中で、またスコットランドと英国との関係が再編成される中で、それぞれの人生が変化を遂げつつ、物語が進んでゆく様は、読者にとってたまらなくドラマティックである。
定年を迎え警察に再就職したが所属部署の上司と間でいざこざが絶えないリーバス。かつての上司リーバスより上の立場に入れ替わりながらも信頼関係は揺るぎもない優しきシボーン。慣れぬ犯罪捜査課に異動を命じられながらも切れ味のあるフォックス。それぞれの性格と立場を移ろわせながら、シリーズは次の展開を待ってゆく。これぞシリーズ・ミステリの醍醐味である。三人の男と女の次なる活躍に乞う、ご期待!
Posted by ブクログ
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相変わらずのギラギラしているリーバスで嬉しかった。娘さんとの関係も改善しているようでよかった。リバースVSマルコム・フォックス、リバースVSカファティ、リバースに安寧な余生などあり得ないね。いい人なのに、何故必ず新しい敵を作ってしまうのか。と言いつつ、味方や協力者も必ずできるんだけど。人徳と不徳を併
...続きを読むせ持つ。そこが素敵。
Posted by ブクログ
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女子学生が運転する車が起こした衝突事故。現場の不自然な状況に気づいたリーバスは、同乗者がいたことを突き止める。だが、当の女子学生は事故の状況について、頑とした口を開かない。事故の裏に、何かが潜んでいるようだが…いっぽう、組織改編で犯罪捜査部に送られることになったフォックスは、内部調査の最後の仕事とし
...続きを読むてリーバズが若き日に所属した署で起きた、隠蔽された事件の痕跡を追及する。彼の捜査は、リーバスの身におよぶのか?独立の是非に揺れるスコットランドで展開する。
シリーズ第19作。ゆったりとしたテンポで物語は進行する。フォックス警部のシリーズはまだ読んでいないが、そろそろ読もうと思う。
Posted by ブクログ
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海外ミステリベスト10の類で何度か見かけたことのあるイアン・ランキン。
何となく敬遠していたが、初めて読んでみた。
意外や意外自分好みのスタイル。
シリーズものが進んでくると型ができてしまい、何が悪いというわけではないのだが、それまで積み上げてきたものに頼り、手抜き感を覚えさせられてしまうものだが
...続きを読む、全然そんなことはなかった。
この作数にして過去の自分の周辺の所業をほじくり返すというもっと早くに立ち向かっても良さそうな題材を使い、リーバスの昔気質な本物の警察官の姿を絶妙に描き上げた一作。
シリーズ最初から読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
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「最後の音楽」から5年。リーバス警部シリーズ第18作。退職した警部は民間人として未解決事件を追う。
一匹狼の刑事が退職する、それは人生の墓場に足をつっこんだも同然だ―警察を定年で辞してなお捜査員として署に残る元警部リーバス。相棒だった女性刑事は昇進し、自分は捜査権限も減じた「手伝い」の身。が、そん
...続きを読むな彼の前に特大の未解決事件が。1999年から2008年の間に三人の女性が失踪し、いまだ行方不明だという。最初の失踪者の母から、娘のことを諦めていないという強い想いをぶつけられたリーバスは、事件現場のA9号線に乗り込んだが…英国読者の熱烈な期待に応え、リーバス・シリーズ堂々の再始動。
うーむ。これだからやめられません。次も楽しみ。
Posted by ブクログ
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