特筆すべきは筆者の立ち位置。
労働問題を扱うけれども、べったり労働者寄りではない立場。
やみくもに雇用者を批判するのではなく、両者にメリットのある関係を作り出すべきだ、というのが基本的な考え方のようだ。
現在の終身雇用、年功序列制の賃金体系などの現在の労働の在り方は、時代に即さなくなっている、との
...続きを読むことで―。
そこで出てくるのが、「限定正社員」という働き方。
これは無期雇用、直接雇用、フルタイムという、現在の正規社員の在り方を踏まえつつ、勤務地や仕事内容、残業について、契約で限定した業務に従事する社員、とのこと。
未来の働き方を探る、第三章以降が興味深かった。
非正規雇用でも、収入が途切れないようにするための一つの選択肢になり得る、とか。
それから、社会保障については国が直接行うようになる、なんて書いてある。
願望としてはそうであってほしいけれど、本当にそうなるのだろうか。
私たちが生きている間は過渡期で、企業からも国からも社会保障のネットが外されちゃったりして。
どうやらこれからの時代には、老後はないようだ。
やれやれ。