作品一覧

  • ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行
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    1巻1,760円 (税込)
    言語・文化・宗教のモザイク世界、ウクライナ・ロシアの諸都市の人々の暮らしと現実、1920年代の記録。 カフカと同じ時代を生きたオーストリアの文豪ヨーゼフ・ロートが、作家・記者の目で観た東欧諸都市の景観と人々の暮らしを独特のスタイルで書き綴った魅力あふれる紀行文で、未発表のまま残されていたウクライナとロシアの旅の報告から、珠玉の17篇を収録。 【目次】 一 東からの便り+D26:G26新流行 ウクライナ少数民族 リヴィウ 障害者の葬列 二 ロシアの風景 トコジラミと過ごした夜 レニングラード 三 ソビエトの現実 国境のネゴレロイエ モスクワの亡霊 ヴォルガ川をアストラハンまで アストラハンの不思議 カフカスの民族模様 ロシアの大通り アメリカを目指すロシア 女性と新しい性道徳と売春 教会、無神論、宗教政治 村に広がる町 世論と新聞と検閲 ロシアの神 あとがき 編集者あとがき 謝辞 【著者】 ヨーゼフ・ロート 1894年、東ガリシアのブロディに生まれる。1939年、亡命先のパリで死亡。1923年からドイツの代表紙「フランクフルト新聞」の特派員となり、ヨーロッパ各地を巡ってユニークな紀行文を書き送り、売れっ子ジャーナリストとなった。その傍ら創作にも手を染め、1930年の長編小説『ヨブ─ある平凡な男のロマン』は現代のヨブ記と称された。1932年にはかつての祖国ハプスブルク帝国の没落を哀惜の念を込めて描いた『ラデツキー行進曲』を発表し、小説家ロートの名をも不動のものにした。 ヤン・ビュルガー 1968年生まれ。文学研究科、小説家。文芸雑誌『リテラトゥーレン』編集者。2002年からは、マールバッハ所在のドイツ文学アーカイブにて従事。ハンス・へニー・ヤン、マックス・フリッシュおよびゴットフリート・ベンに関する著書の他に、『ネッカー川、ある文学旅行』がある。 長谷川圭 高知大学卒業後、ドイツのイエナ大学でドイツ語と英語の文法理論を専攻し、1999年に修士号取得。同大学での講師職を経たあと、翻訳家および日本語教師として独立。訳書に『樹木たちの知られざる生活』(早川書房)、『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberはなぜ世界のトップに立てたのか』(集英社)、『「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実』(角川書店)、『ポール・ゲティの大富豪になる方法』(パンローリング)、『メイク・ザット・チェンジ』(日曜社、共訳)などがある。
  • 聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇
    4.0
    1巻1,122円 (税込)
    ある春の宵、セーヌの橋の下で、見知らぬ紳士が飲んだくれの宿なしに二百フランを恵む――人生の喪失は、かくも軽やかに美しく語られる。ヨーロッパ辺境に生まれ、パリに客死した放浪のユダヤ人作家ロート(1894―1939)が遺した、とっておきの大人の寓話。他に、ナチス台頭前夜をリアルに描いた「蜘蛛の巣」など四篇を収録。

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ユーザーレビュー

  • 聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇

    Posted by ブクログ

    放浪のユダヤ人作家ロート。5篇の短篇の主人公たちも放浪する。故国を遠く離れて。ナポレオンはヨーロッパをかき混ぜ、第一次大戦はヨーロッパの枠組みをぶっ壊してしまった。民族自決という名の下にバラバラになったオーストリア帝国。行き過ぎた民族主義はユダヤ人に対する憎悪を引き起こす。ヒトラーを予見させる『蜘蛛の巣』と亡き帝国の挽歌である『皇帝の胸像』は鏡像のようだ。せつない愛の物語2篇もいい。表題作は作者そのものらしい。淡々とした筆致で書かれた物語たちは甘さのあとにくるほろ苦さのようなものを含んでいた。


    『聖なる酔っ払いの伝説』でもアプサンの代用酒でペルノーを飲んでるけどヨーロッパではアプサンがそん

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    2014年08月09日
  • 聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇

    Posted by ブクログ

    ヨーゼフ・ロ-ト(1894-1939)、オーストリア=ハンガリー帝国出身のユダヤ人ジャーナリスト&小説家。本書は彼の作品のなかから中短篇5篇をチョイスし、年代順に並べてある。
    1933年ヒットラーが首相になったのを機に、ロートはフランスに亡命した。本書では、この亡命以降の3篇、とくに最後の「聖なる酔っぱらいの伝説」がいい。
    「聖なる酔っぱらいの伝説」では、主人公の男は、亡命先のパリで毎日飲んだくれながら、何度か奇跡に会い、最後はある意味幸福な死に方をする。著者ロートも、この男と似たような死に方をした。まるで小説を書いて自分を暗示にかけたかのように。
    巻末には池内紀の「解説」。一緒にロートを読ん

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    2025年05月05日
  • 聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇

    Posted by ブクログ

    ヨーゼフ・ロートはドイツ人の友人に教えてもらって読んでみた。『果てしなき逃走』に続き2冊目。ドイツ文学ではユダヤ人の問題は避けて通れないと、その友人は言っていたが、『蜘蛛の糸』を読むとよくわかる。ユダヤ人作家がユダヤ人に対する憎しみをこれだけ赤裸々に表現することに驚いた。また、この作品がヒトラーが政権を取る前に書かれたことも驚き。まさに予言的な作品である。

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    2024年12月15日
  • 聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇

    Posted by ブクログ

    表紙がアニメなので子ども向けの小説と思っていたら違っていた。ヒットラーが出てくるのは、「蜘蛛の巣」の小説のほうだった。

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    2017年05月25日
  • 聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇

    Posted by ブクログ

    『蜘蛛の巣』
    1923年に書かれた本作は、既にナチの脅威を的確に予知しています。ロートは予言者であり、シャーマン。アル中ゆえでしょうか。もしくは時代を感じとる神経過敏さがアル中へと繋がったのでしょうか。またこれがウィーンで新聞連載だったというのが凄い。
    ヨーゼフ・ロートの何が凄いかまとめると、
    ・10年後のヒトラー台頭の予言と、ナチというものの原理を的確に描写
    ・「ユダヤ人に向けられた憎しみの心性」をユダヤ人が的確に描写
    ・当時の陰惨な世界を渇いた目で描写。ワイマール後は想像以上に地獄だったようで。簡潔な文体で、今でもありありとよみがえらせるところ
    ・亡命してアル中で死ぬ点

    ここには、貧困と

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    2014年12月19日

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