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藤山六輝
藤山ムツキ/アダルト系出版社出身のフリーライター・編集者。エロ按摩愛好家。趣味は御利益グッズの収集。学生時代より“旅と風俗”をテーマに国内外を放浪。現在、週刊誌をはじめ、超マニア向けの専門誌、広告関連まで幅広く活動している。
モットーは「仕事するフリして全力でサボる!」
Twitter:@gold_gogogo
海外アングラ旅行
by 藤山六輝
しかし、さらに時は経ち、日本でもフェイスブックの参加者が急増し始めた……のはいいのだが、日本の知り合いから次々と〝友達申請〟が来るようになった。 コレはマズい。 なぜなら、私のタイムラインには彼女からの、「アイミスユー」「アイラブユー」攻撃が頻繁に投稿されていたからだ。 これでは、私がフィリピンで女遊びをしまくっていたことが、知り合いにバレてしまう。友達ならまだしも、仕事関係の人なんかに知られては、信用をなくしてしまいかねない。 結局、私はヒッソリとフェイスブックを退会し、別のフリーメールアドレスから、入会し直したのである。 インターネットで世界が近くなったのはいいが、意外な弊害もあるのだ……。
タイ・バンコクは、世界でも有数のニューハーフ天国である。 街で石を投げればニューハーフに当たる、と言っても過言ではないほどの確率。そのへんにあるファミリーマートのレジ打ちでさえ、一目でそれと分かるニューハーフがやっていたりもする。 タイでは、ニューハーフのことを〝レディボーイ〟と呼ぶ。 バンコクは、街自体が寛容で、まさに人種のるつぼ。各国の汚いバックパッカー、変態オヤジ、廃人同然の沈没者……等々、全てを呑み込むだけの懐の深さがある。よって、レディボーイもまた、堂々と存在していられるのだろう。
だが、ベースが男であるということは、粗野な面もあるということだ。 実際、バンコクでは、レディボーイから腕を強く引っ張るような勧誘をされたり、あるいは、レディボーイからスリの被害に遭った、なんていう報告もよく聞くので、そういう意味では注意が必要なのである。
たまには普通の女体ではなく、クセのあるものにも触れてみたい。食通の人が、カラスミなどの珍味を好む感覚と似ているのかもしれない。 〝エロの総合デパート〟ことナナ・プラザには、もちろんレディボーイ専門店も多数ある。そこで、ある日私は、「そっち系」のゴーゴーバーを初めて覗いてみることにした。
オッサンは、それを一握りすると、匂いを嗅いでみろと言う。正直、私は香りでクオリティの良し悪しまでは判断できないのだが、確かに、マリファナであることは間違いない。 そこで私が、「オーケー。5ドル分もらうよ」と言うと、なんとオッサンは、ビニール袋ごと渡してきたのだ! 5ドルでこの量は、ちょっと他の国では考えられない安さである。これでは、ハッパ好きな連中がラオスに沈没するのも無理はない。私にしても、仮にこの量のハッパを全部自分で消費したら、もう日本には帰れなくなるかもしれない……。 そう思って、私は5ドルを支払い、1回分だけの量をもらうことにした。 すると、オッサンは驚いたようで、チップだと言いながら、ポケットに入っていたタバコ全部をオマケにくれた。 マリファナ天国においては、私は相当変わった旅人だったのだろう(笑)。
「支払った分の9割は返してくれ」 と要求したのだが、男は、そんなには返せないなどと言ってなかなか譲らない。 しかし、私には強い味方がいる……と思って警官達を見ると、彼らはノンキにビリヤードをしていた。どうやら、交渉の助けはしてくれないようだ。さすがは中国、完全に腐敗している! 男は、「これ以上返してほしいなら、警察が帰った後にゆっくり話そうじゃないか……」と耳打ちしてきた。そして、カウンター内にいる他の店員は、なぜか包丁を研いだりしている。きっと恐怖を煽っているのだろう。
なんと、選ばれなかった女達が、思いっきり腕をつねったり叩いたりしてきたのだ! こんなことは経験したことがない。マジでヤバ過ぎる。た、助けてくれ~!! しかも、手に持っていたコーラのペットボトルがいつの間にか奪われており、売春婦たちのほうを見ると、彼女達はそれを大笑いしながら回し飲みしている。 まるで、痴女や女強盗だらけの満員電車に自ら乗車してしまった気分だ……。 それでも、足早に奥の方へと歩いていくと、若い子から熟女、ガリからデブまで実に様々なバリエーションのコが揃っていることが分かる。 また、中には、明らかにドラッグでイッているように見える女の子や、病気なのか皮膚に激しい炎症を起こしていたり、頭髪が抜け落ちてしまっている女の子もいた。
「ここで遊ぶのはいくらなの?」 「このエリアは、基本的に500タカだよ」 「マジ……!?」 驚愕の価格である。私は、靴底に仕込んだヘソクリも含めて、合計3000タカを持ってきていたのだが、予想以上に安い。 日本円にして、わずか500円で彼女達は春を売っているというのか……。
「ブラザー、大丈夫だって。ハッスルすれば治るから」 従業員の男はそう言いながら、セックスのジェスチャーでアピールしてきた。挙げ句の果てに、私のチンコを豪快に揉んでくる。 「ちょっ、待てってば。ターイム!」 「元気にしてやるから大人しくしろ!」 ……コイツはゲイなのだろうか? それとも、人の良いバングラデシュ人ならではの優しさなのだろうか? その後も、彼は私のチンコを盛大に揉み続けたが、そんなことをされても勃つはずがない。私は本当にコンディションが悪いのだということをアピールするために、Tシャツとズボンを脱いだ(決して彼とプレイするためではない)。 「オーゥ、バッド……」 虫刺されでブツブツだらけの体を見せると、彼は驚いて私のチンコから手を離した。 そして、「体が治ったら、声を掛けてくれ!」と言うと、ヤバい病気とでも思ったのか、部屋から逃げ出すように去っていったのだった。
ダッカは、貧富の格差が極端な街である。 近年は、日本も含めた海外企業の流入で急速に経済成長が進んでおり、都会的なビジネスエリアもできているのだが、その一方で、鉄道の線路沿いを中心に、スラムもまだまだ数多く存在しているのだ。