現在進行形で日々進化する天才棋士、藤井聡太。
最新情報では、藤井聡太は詰将棋解答選手権で6年ぶり六回目の(満点)優勝、6年ぶりというのもこれまで対局が重なり参加出来なかっただけ。今回は、叡王位を取られた伊藤匠が詰将棋解答選手権での優勝宣言を聞き、負けず嫌いな性格に火が付き本気モードで参加。ちなみに今回初参加の伊藤匠は13位、2位と3位は奨励会三段の二人が入る(奨励会三段の上位入賞は、本書の影響かもしれない)。また、優勝六回は過去に宮田敦史七段も達成しています。
本書は2021年に書かれた成長(途中)の記録です。
デビューから3年で、29連勝や二冠タイトル保持者となり段位はこの時点で既に八段。
将棋観戦記者でも知られる鈴木宏彦の快筆によって藤井聡太の凄さが浮かび上がる。
以下は、私の備忘録。
・藤井少年が小学4年生のときの文集内容は、子供と大人とアマチュア将棋指しの顔が混在。
最近関心があること、「電脳戦の結果、尖閣諸島問題、南海トラフ地震、名人戦の結果、原発について」
好きな食べ物「刺し身、味噌煮込みうどん、ラーメン」
最近面白かった本「海賊とよばれた男、深夜特急、アド・バード」
将来の夢「名人をこす」*〈になる〉ではなく〈をこす〉
・藤井聡太の最年少記録
奨励会初段(11歳11ヶ月)、三段(13歳2ヶ月)、詰将棋解答選手権チャンピオン戦で奨励会時代に2連覇(そのまま5連覇)、四段昇段(14歳2ヶ月)、朝日杯優勝&六段昇段(15歳6ヶ月)、七段昇段(15歳9ヶ月)、タイトル挑戦(17歳10ヶ月)、棋聖位獲得(17歳11ヶ月)、王位獲得&2冠&最年少八段(18歳1ヶ月)など
・奨励会員の藤井聡太と公開対局の打診を快諾した佐々木勇気五段は、後に藤井のあの29連勝のストッパーともなった
・藤井将棋の出発点のふみもと子供将棋教室では、詰将棋練習と「駒落ち定石(所司七段著)」と「羽生の頭脳(全10巻)」がバイブル
・幼稚園児だった藤井少年は、まだ漢字の読み書きが出来なかったので、詰将棋の筆記回答には母親も協力
・詰将棋解答選手権に小学2年生で参加した藤井少年と2枚落ちで対局した浦野八段は、「同じ8歳の時の豊島将之と比較すれば、明らかに豊島君の方が強かった」
・同じく小学2年生の時、谷川浩司九段と二枚落ちで対局。進行の都合上、谷川は引き分けを提案。藤井少年は盤に覆いかぶさり泣いた。しかし、既に藤井少年の勝ちはなくなり、負かすのはかわいそうだという谷川先生の温情だったのだが…
・浦野著「この詰将棋がすごい!2015年版」を買いに2500円を握りしめて藤井少年がやってきた。〈ごめんな、これ3500円やねん〉微笑ましいエピソード
・三段リーグ前に、千田翔太七段のアドバイスで研究用将棋ソフトを導入
・最年少タイトル獲得記録の前に、新型コロナの影響で将棋の対局が約2ヶ月つかなくなった。誰もが記録更新は不可能と思ったが、コロナ明けに将棋連盟は記録更新につながるように日程を調整。もちろん負ければ終わり。将棋連盟の隠れたナイスアシスト。
・藤井聡太の5段階ジャンプ
①詰将棋熱中期(7~9歳)
②奨励会三段リーグ開始前の半年(コンピューター分析)
③29連勝期間
④永瀬拓矢とのVS
⑤コロナ自粛期間の2ヶ月(永瀬との実戦練習将棋とパワーアップしたパソコン解析)
・筆者が藤井の凄さを感じるのは、詰将棋というアナログな勉強法で最年少で奨励会三段まで駆け上がった点
・ネット将棋での藤井の評価値推移も面白い
・3度あった天才棋士ブーム
❶谷川浩司が21歳で名人となった1983年は「光速の寄せ」新風へのリスペクト
❷羽生善治全7冠達成の1996年は全国的羽生フィーバー
❸藤井聡太の快進撃はテレビニュースにもなり、藤井の追っかけ軍団も登場
・将棋界で無敵時代を作った棋士は過去に4名
木村義雄、大山康晴、中原誠、羽生善治
*今年度でストップしましたが、デビューから7年連続年度勝率8割超えも空前絶後の記録ですね