面白い!というか、身に迫った問題である。
為替変動によって物価も変わるし、経営状況も変わる。それを面白く学ぼうという試みは素晴らしいし、ありがたい。ただ、結論としては為替の動向は明確に予測ができるものではないという事。それは当然で、予測可能ならば、それで稼げてしまうだろうし。
分かりやすい構図としては、「円安は海外投資の高い日本にはプラス」「しかし、輸入品が値上がりし、庶民は生活苦」「外国人労働者も日本で働く価値が目減りし、人手不足も深刻化」というベクトルについて。円高ならばこれの裏返し、という風に考えられるが、高いか安いかは自国通貨の基点によっても見方が異なるし、相対的な関係性にもよるし、変動の速さによっても社会的影響が異なるから難しい。
例えば以下の話は面白かった。東日本大震災の話だ。難しいのは、更に「予測の先読み」が働くからだ。ケインズのいう「美人コンテスト」の理論だ。
― 災害の当事者が日本なのに、その日本の通貨が買われるのは、理屈に合わない。矛盾していると思うかもしれません。なぜ、円高になったのでしょうか。機関投資家の間では、「資金回帰が起こった可能性が高い」と言われています。海外で運用していた資金を国内に戻したということです。しかし、あの頃、生保などの大手機関投資家が大量に円を買ったというデータはありません。実は、真相は今もはっきりしないのです。これは推測ですが、資金回帰的な動きが大量に出るのではないか、そうなれば円高だ、と連想した投機筋が大量に円を買った。その結果として円高になったのかもしれません。
円安が良いなら円安に誘導すれば良いじゃないか、という事だが、以下のような話もある。
― 自国の通貨を安くするために各国が介入を繰り返せば、市場が歪められてしまう。そこで、為替レートはあくまで市場によって決定されるべきだ、ということになり、G7各国はそれに賛同しています。仮にそのルールに反するようなことをすれば、アメリカから「お前は為替操作国だ」と名指しで批判され、制裁を受けることになりかねません。
これはあくまでアメリカ独自の根拠に基づいて行われていますが、実際問題として、仮にアメリカから「為替操作国」に認定され、関税の引き上げなど経済制裁を受けることになれば、対象国の経済は大きなダメージを受けます。結局、世界のリーダーであるアメリカには皆逆らえないので、従うしかないのです。それはともかく原則としては、どこの国にとっても自国通貨は安いほうが景気や経済にとってプラスというのが一般的な認識です。ただ、こうした経緯もあり、G7各国がわかりやすい形で自国通貨安に誘導することはなくなりました。
生活に密接した話である。よくよく勉強していきたい。