『緋色の研究』のいちばんの難関は、第二部に入っていきなり過去のアメリカに話が飛ぶところ。
それをこの青い鳥文庫版では、第二部第六章の「ワトスン博士の回想録」の前半を第二部の冒頭にもってきて、スムーズに過去の話につなげるという思いきった手段で解決している。読んでみるとむしろそのほうが自然なくらい。さ
...続きを読むすが青い鳥文庫という感じで、わたしはとても感心しました。ほかにも同じ日暮さん訳の、光文社版(一般向け)に比べると、かみくだいた表現を使っている。
【光文社 → 青い鳥】
ほとんど時をおかず → 男がかえったすぐあとに
惜しむらくは → ざんねんなことに
いくばくか軽蔑も → ばかにしたような感じもいくらか
長広舌 → 長たらしい解説
などなどなど。勉強になるわあ。
ただ、第二部では、情景描写なども若干はぶいているので、こっちで読んだあとまた光文社版も手に取れば万全かなと思いました。