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「フランク・ブレイディー」の「完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「フランク・ブレイディー」の「完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
チェスの元世界チャンピオン、ボビー・フィッシャーの伝記。
チェスの稀有な才能を持ちながら、完璧主義と偶然を嫌う気質が故に、妥協して人生を生きられない彼の不器用さは同情と憐憫を誘うものであった。許されざる人種主義的発言も、元を辿れば彼のトラウマと孤独に根ざすものであり、一概に悪徳な人物と詰ることは出来ない。
注目すべきは、多くの人物と袂を分かちながら、それでも尚彼のために尽力する人物が次々と現れた事であろう。類稀なるチェスの才能と知性は本物であり、求道者としての彼に惹かれる者が多かった事は大いに頷ける。余りにも偶然性で満ち溢れた人生というゲームにおいて、彼の知性は、かえって彼を困難に至らしめたのかもしれない。
Posted by ブクログ
伝説的なチェスの天才、ボビーフィッシャーの生涯。グランドマスターになったりロシアのマスターたちとの戦いのあたりまでは、才能ある主人公の痛快な活躍劇として楽しめる。基礎の基も知らないのに、フィッシャーのような全能感を感じておもむろにpcでチェスゲームを立ち上げてみたりさえする。
そこからの転落人生は、それまでヒーローだった彼を応援しながら読んでいた人にとってはページをめくるのも億劫なくらいに、彼が世間から疎まれていく様が描かれ続ける。再上昇はほぼないと言ってもいい。そしてそのままのたれ死ぬのである。人の不幸が好きなある種の人たちにとっては前半のそれよりも遥かに読み応えがあるに違いない。
一粒で二度楽しめる、そんな感じ。
Posted by ブクログ
チェスの天才、ボビー・フィッシャーの評伝。最高にエキサイティング。
フィッシャーのろくでもない人格や冷戦時代のポリティクス(米ソのチェス対決はそのまま代理戦争だった)の多面性の描写も秀逸だが、これを読んで改めて痛感したのは、「チェスは高度な心理戦だ」というごく当たり前の事実。我々日本人はとくに「世紀の決戦」に侍精神を求めがちだ。が、世界レベルの修羅場では、冷笑的なしぐさで相手をいらだたせ、対戦に応じて戦略的に引き分けを選択して強敵との戦いのために体力を温存する。あらゆる手練手管が動員される。有利な局面で勝利を予感し、ピンチで動転し、それが思いもよらぬ一手(多くの場合は過ち)を導くことになる。
フィッシャーは、(彼の被害妄想的な断定も含めて)ソ連チームのあらゆる「妨害工作」にたった一人で立ち向かい、勝った。そして、20年を経て再度宿敵スパスキーと対決するとき、彼には賞金の額から会場の設営、チェスの駒のサイズに至るまであらゆるわがままを通させるだけの商業的価値がついていた。卑怯だ、ずるいと騒いでも既存の秩序は結局びくともしない。勝利し、自分でルールを変えさせる。ビジネスにも通じるような、過酷だが、ある意味フェアとも言えるリアルな「戦い」の描写に読んでいて鳥肌が立った。
天才にして不遇。末尾の解説で棋士の羽生善治氏が極めて的を射た言い方で触れているように、フィッシャーはモーツァルトに似ている。彼自身は幸せではなかったかもしれないが、彼の残した棋譜は語り継がれる。「音楽を深く勉強しなくてもモーツァルトの素晴らしさを理解できるように、フィッシャーのチェスもルールが解ればその力強い指しまわしに魅了されるはずです」(P.521)。
Posted by ブクログ
早熟の天才だが、人生はまったく幸せとは言えなかった。反ユダヤ的な宗教観をもち、さらにはアメリカやソ連に狙われているという妄想も持ってしまった。お金にも執着し、そのことでいろいろと損をしている。結局世界チャンピォンになった29歳までが絶頂で、そこからはチェスのキャリアもあまりつめなかったように思える。ただ、チェスでの圧倒的な才能、自分が最強という自信や、チェスに関する姿勢、異常なまでの勉強量、そういったもの魅了される。それ以外は全くかわいそうな人としか言いようがない。彼の忌み嫌うゲーリーカスパロフは人生もそつなくこなし、チェスでも彼より多くの業績を積むことができたと思う。