宮本輝のレビュー一覧
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久しぶりに宮本輝さんの本を読みました。私のおススメの作家さんの一人です。私が勝手にイメージする宮本輝さんの本に登場する主人公は、①それなりの教養を備えている、②運を持っている、③自分を引き上げてくれる出会いや人とのつながりがある、の三つかな。なのですごく羨ましくて、自分もこんな人物になれたらいいな...続きを読むPosted by ブクログ
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泣いた。
読んでて本を伏せたくなるような辛い場面もあったけどキクエさんの娘を思う強さと優しさに胸が熱くなった。
娘さんを逃した後結婚生活を続けるところも、どうしてと思う反面、
娘と娘を引き取ってくれた夫婦に危害が及ばないよう、事件の波風がたたないようにすることと、夫を監視するためだったんだろうなと思...続きを読むPosted by ブクログ -
前巻から、打って変わっての空気感。
人生何が起こるかわからない。変転、流転は、常のものか。
その中でも、変わらぬ己の特質がもたらす陥穽。
行というものの大切さなども、物語の伏流の中で描かれる。
銀行の空気や、ふとした瞬間に熊吾が思い出す、戦死した戦友たちへの申し訳ないという思いなど、今の時代に失わ...続きを読むPosted by ブクログ -
時代の息吹を感じられる。
歴史的な経緯を庶民のその時大阪にいた人間として追体験できる。
生半可な現代史よりもリアル。学問では、知ることのできないもの、知覚できないものを、表現している。文学というフォーマットで表現できるものがあることの実例かも。Posted by ブクログ -
仕事にどう向き合っていくかを考えさせられた。
とてもいい意味で、3年で1人前という考え方が覆される。自分がどんな大人になっていきたいか、どんな生き方をしていきたいかという、大きなことを問いかけてくれる本。
20代で出会えて本当に良かったな。
人生の分岐点で、必ずまた読み返すだろうな。Posted by ブクログ -
凄惨な人間生活。
熊吾の激しさ(暴力と経済力)が、そして運が回復してきたように感じる。
それと対になる、蘭月ビルの人々の生活。破滅的な生き方をする者、他人の生き血を吸う者、そうした生活の中でも文化的に精神的に生きる者、ぐれずに育つ子供たちの純真さ。
人間と人間の打ち合いの中で鍛えられる伸仁。
コン...続きを読むPosted by ブクログ -
自尊心より大事なものを持たねばならない。
富山へ移った松坂一家。
様々な苦難が降り注ぐ。
その中で、地味溢れる言葉に溢れている。
徐々に苦しくなる熊吾と家族。追い詰められて来ているが、その中でどう生きていくのか。。
熊吾のパワーが落ちて来ている感じもある。
そして、人間の悪意や行動も、善悪では...続きを読むPosted by ブクログ -
人間を具に、描いていくとこういう小説になるのか。
テーマが分からないと思っていた。夫婦、親子、商売、戦後の社会、人間関係、親子関係、恋愛、任侠、などなど色んな要素が描かれていく。どの表象も、人間がおこすこと。自らの意思であったり、抗えない環境や抑えられない衝動だったり、そんなもの全てがごった煮である...続きを読むPosted by ブクログ -
人間の複雑さ、極まれり。ゴタゴタとした中で、徐々に熊吾が、房江の人物が立ち上がってくる。
感動的な場面があったかと思うと、裏切る様に短絡的に動く熊吾。支離滅裂で、非常に賢いところと、非常に愚かなところと。様々な感情と側面が同じ人間の中に同居しており、そんな人間が集まって、すったもんだしている。
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