骸骨ビルと言う場所の意味、阿部轍正の存在、そして茂木泰造の思い。終わりに向けて動き出す…。
パパちゃんに対し周囲からは邪推され陰口を叩かれる中、自己保身しか考えていなかった役所が子供たちを引き取りたいと言ってきた時に、彼が言った言葉。
「人間としての誇りは捨てんが、小さな自尊心なんていつでも捨
...続きを読むてるで」
これもパパちゃん。
「人間はその根本の部分に必ず何等かの癖を隠しているものだ。…つらい苦しいことからは逃げるという癖を持つ人間もいる。そのときどきの気分で表情や態度が変わるという癖を持つ人間もいる。…そのことをしっかりと自覚しろ。」
私に言われているようだ。
ヴィクトル・フランクル「意味への意志」からの引用。
「――われわれは他者の人生に意味を与えることはできません――われわれが彼に与えることのできるもの、人生の旅の餞として彼に与えることのできるもの、それはただひとつ、実例、つまりわれわれのまるごとの存在という実例だけであります。というのは、人間の苦悩、人間の人生の究極的意味への問いに対しては、もはや知的な答えはあり得ず、ただ実存的な答えしかあり得ないからです。われわれは言葉で答えるのではなく、われわれの現存在そのものが答えなのです。――」
フランクルの「夜と霧」も考えさせる言葉が多く、勉強になったなあ。この本も読んでみよ。
終わりは静かな感じだったが、充足感の得られる内容であった。
宮本輝さんの本は初めてだった。他の本も読んでみたい。