宮本輝のレビュー一覧

  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)
    とうとう自分が房江と同じ年齢に!
    房江は生まれ変わり、強く生きる力を得た。
    熊吾と房江が生かされている奇跡に感謝しているのと同様に自分もこのタイミングにこの本に出会えたことに感謝!
  • 満月の道―流転の海 第七部―
    事業の危うさ、身体の危うさ、人間の危うさが入り混じっていて最後までヒヤヒヤしながら読んだ。
    そんな中でも生命の誕生や房江が新たに楽しみを見つけて人生を楽しもうとしていてワクワクする。人生を楽しむのは些細な事で良くて、それはこの第7部の満月があらわすように常にそばにある。それに気がつく事が出来れば幸せ...続きを読む
  • 螢川・泥の河
    作家・宮本輝の初期の代表作2編が収録されています。
    本作収録の2編の短編により、宮本輝は作家としての地位を確立しました。

    宮本輝は教科書では村上春樹や吉本ばなななどと並んで文学作家として紹介されることが多いです。
    ただ、大体"第三の新人"あたりからの文学作品は大衆文学との境が薄れていて、宮本輝作品...続きを読む
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)
    流転の海完結編。全9巻。

    宮本輝は毎回、人生とは、人の宿命とは、幸福とは、などいろいろなことを考えさせられる。

    この作家に出会えたことで、人生が深まったように感じる。
  • 地の星―流転の海 第二部―
    第二部
    舞台は南宇和郡一本松村。
    愛息・伸二の五歳までの成長を軸に熊吾が己の人生の意味を模索する。

    異常な執念で熊吾への恨みをぶつける地元のヤクザ・増田伊佐男との再会。

    伊佐男の画策した闘牛をキッカケに出会った深浦港の網元・和田茂十の、県議選出馬に伴う選挙参謀としての活動。

    茂十の罹患…そして...続きを読む
  • 流転の海―第一部―
    とんでもない本に巡り合えた。

    人が幸せに生きていく上で必要な素養の全てかここに在る。



    この作者の「優駿」を読んで、是非他の作品も読みたくなり、この本に辿り着いた。

    1984年の第一刷発行であるが、
    全く古さを感じないどころか、まさに現代(いま)を予言しているかの様な作者の慧眼に舌を巻く。
    ...続きを読む
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―
    過去の行いが今現在に返ってくる。子や孫に戻ってくる。良い事も悪い事も。
    自分も自分や家族、関係する人々に誠実にありたいと思う。
    全編やはり雨の印象が残る回でした。
  • 花の回廊―流転の海 第五部―
    読み終えてやっと、花の回廊は蘭月ビルも表しているのだと気がついた。花の回廊とはいうが華麗な花とは対極にもあるような人間の汚さや妬み脆さや危うさが混ざり合っていて、読んでいる自分にも重くのしかかってくる。
    そのような闇ともいえる場所でさえも伸仁は自分なりに向き合って、人間の部分を成長させているように見...続きを読む
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―
    精力的に事業を興しては成功させていた熊吾にも暗雲立ち込めてきて読み進める事が中々つらくなってきた。
    宮本輝氏の作品で描写される「生と死」「明と暗」「幸と不幸」「貧と富」等々、この第4部は暗の部分が強くのし掛かってきたような感じがした。第5部は生の象徴でもある伸仁の活躍に期待している。

    メモ 古今亭...続きを読む
  • 流転の海―第一部―
    知らず手に取ったが第九部まで37年間に及ぶ小説の冒頭だった。人間のどうしようもなさと星廻りを感じさせる物語。
  • 血脈の火―流転の海 第三部―
    熊吾と房江の其々からの描写で構成されているので、ストーリーに奥行きがあって面白い。登場人物も根っからの悪い人はおらず、危うい怖さはあるけれど嫌いになれない。
    また戦後の大阪の様子が思い浮かび、作品に入り込んでしまう。流転の海は一年かけてゆっくりと読もうと思っていたけれど、あっという間に読んでしまいそ...続きを読む
  • 流転の海―第一部―
    宮本輝さんの作品との出会いは16歳。青が散るでした。
    そしてこの流転の海のシリーズを読み始めたのは52歳。主人公とほぼ同じ年齢なので目を背けたくなる描写も、辛くて耐えられそうにないことも受け入れられる精神力があるように思います。
    作品に入り込みすぎてあっという間に読み終えてしまいそうなので、この流転...続きを読む
  • 優駿(下)
    額に白い星印を捺された漆黒の仔馬、オラシオン、祈り。

    オラシオンの誕生、育成から宿命のダービー戦までの三年間。
    二分何十秒かで決まる勝負の世界。

    和具平八郎の私生児として15年間生きた誠は「お父さんの腎臓をください。お願いですから」と言いながら亡くなっていきました。
    平八郎は「俺は生涯、俺を許さ...続きを読む
  • 優駿(上)
    北海道の静内、渡海千造の営む小さな牧場のトカイファーム。
    そこへ息子の渡海博正と同い年で大学生の和具久美子が大阪から和具工業の社長であり、父の和具平八郎とともに、今、生まれようとする仔馬を見にやってきます。

    生まれてくる仔馬はウラジミールとハナカゲの子のサラブレッドで、のちに和具の秘書の多田により...続きを読む
  • 私たちが好きだったこと
    宮本輝の小説はすべてがハッピーに終わらず、現実というのは山あれば谷もあるというのを暗に示しているような話が多いがこれもそう。

    結果的に見れば、主人公は大学に行かせる手助けをして、医者になれる道筋を作った挙げ句違う男に乗り換えられて恋は終わる悲しいストーリー。
    しかし女がひどいかといえば、このままだ...続きを読む
  • 螢川・泥の河
    太宰治賞受賞作「泥の河」、芥川賞受賞作「螢川」。名作である。
    古典とも言われる名作は、何回読み返しても、また違う感動があります。
    暗鬱な北陸の風土に、生き抜いていく人間の哀愁、命というものの叫びというものが、読み手に強烈に跳ね返ってくる。若い頃では感じ得ない感情を、感動がここにはある。
  • 螢川・泥の河
    「泥の河」と「螢川」の二篇。前者は太宰治賞、後者は芥川賞を受賞しています。両作品ともに性の目覚めにある少年が主人公。その目に映る大人の弱さ、泥臭さ、悲しさと、自然の儚さ、雄大さ、不気味さ、厳しさ……色とりどりに目まぐるしく変わる描写が叙情たっぷりでした。

    少年は身近な者の死によって、常に死が意識下...続きを読む
  • 螢川・泥の河
    『戦後の貧しさの中で…力強く生き抜く子どもたち』

    太宰治賞作品「泥の河」
    芥川賞作品「螢川」

    どちらも、昭和の薫り漂う時代背景のもと、子どもの視点から見た大人の世界、生と死、恋心を精緻な描写で描きだす。
    戦後間もない貧しい環境の中、必死に生き抜く力強さを感じた。
  • 水のかたち 下
    今まで読んだ宮本輝の中で1番好きかもしれない
    水の流れのままにではなくて、水のかたちのままに
    『善き人』の強さを最近強く感じる自分にとって、なんだか救われたような気持ちになる話だった
  • 流転の海―第一部―
    熊吾

    過ぎるほどの人間臭み

    豪胆さと脆さ

    こんな境遇、時代背景に自己投影できる人などいないけれど

    共感できる

    共感というよりは、男性として惚れる、憧れる男ですね

    この小説の存在で、今年は寝正月になったと言っても過言ではない