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昭和34年、中学生になったものの、あいかわらず病弱な伸仁の身を案じていた松坂熊吾だが、駐車場の管理人を続けながら、勝負の機会を窺っていた。ヨネの散骨、香根の死、雛鳩の伝染病、北への帰還事業、そして海老原の死。幾つもの別離が一家に押し寄せる。翌夏、伸仁は変声期に入り、熊吾は中古車販売店の開業をついに果たすが──。「生」への厳粛な祈りに満ちた感動の第六部。
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Posted by ブクログ
時代の息吹を感じられる。 歴史的な経緯を庶民のその時大阪にいた人間として追体験できる。 生半可な現代史よりもリアル。学問では、知ることのできないもの、知覚できないものを、表現している。文学というフォーマットで表現できるものがあることの実例かも。
柳田元雄の元で、3〜4年の期限付き経営者となった熊吾。 房江は忙しさに追われながらも更年期の症状から解き放たれる。 伸仁は私立中学に合格し中学生となるが、その成長の遅さに不安を感じた熊吾は伸仁の身体の全てを小谷医師に託す事に。 一方、熊吾の新事業の援助を約束した亀井周一郎は、社長の後任に据えるはず...続きを読むの義弟の不正が発覚し窮地に。 そして、末期の癌に罹患している事が判明する。 援助の当てが外れた熊吾は、 房江に内緒で自らが忌み嫌っていたエアブローカーに手を染め伸仁の治療費を捻出していたが、やがて大久保五郎という老人から伸仁を保証人として金を借り、小さいながらも中古車販売店・ハゴロモをスタートさせる。 城崎では、 ヨネの死によって美恵が大阪へと去り、続いて正澄も千代麿夫婦が引き取り、正澄の祖母・ムメも亡くなる。 一人になった麻衣子は実の母親と「ちよ熊」を引き継ぐが、やがて連絡が取れなくなる。 また一方では、 井草の妻のもたらした、 海老原太一の詐欺教唆と借金の証拠となる名刺は、熊吾によって観音寺のケンの手に渡るが、海老原太一が衆議院選挙への出馬を決めて程なく、その自死が報道される。 やがて、一通の郵便が届く。 中にはたった一枚の名刺が…
過去の行いが今現在に返ってくる。子や孫に戻ってくる。良い事も悪い事も。 自分も自分や家族、関係する人々に誠実にありたいと思う。 全編やはり雨の印象が残る回でした。
昭和34年.伸仁は中学生になった。ヨネの散骨、香根の死、いくつもの別れが熊吾達に飛来する。生の祈りに満ちた感動
流転の海シリーズは何度読んでもおもしろい、 14年前学生時代から読んで、 また読み返してもおもしろい。 あの時代に生きた強靭な人たちの話、 自分にないだけにあこがれる、
すごく楽しみにしていました。伸仁が中学生か…なんだか感慨深く思いました。これからの展開が、楽しみではありますが、一家にとってはつらいことが続くであろうことを思うと複雑な気持ちです。でも、その中で何を見せてくれるのか…やっぱり楽しみですね。
中学生になった伸仁。 そして中古車店を立ち上げた熊吾。 熊吾一家も変わろうとしている。 ひ弱だった伸仁も逞しさを見せ、熊吾も相変わらず情が濃い。 北朝鮮に旅立つ兄妹を鯉のぼりを振って見送るシーンが心に残る。
相変わらずの読みやすさ。第1部から30年以上をかけてかかれていると考えると、リアルタイムで追いかけていたら次の展開が待ちきれなくなっていただろう。 伸仁青年は優しさのなかに思春期がちらほらし出し、お母さんにも口答えするように。少しずつ家族3人が大人の会話になってきたのが微笑ましい。 お父さんまだ...続きを読むまだ稼がないと(自分に言い聞かせてます)。
漸く私の幼少期から、自我が芽生えてきた時代の描写が多く語られる様になってきた。熊吾、伸仁の表情は闊達だけれど、房江の気持ちは落ち込んでいる様に感じる。 1~6巻迄、わき目も振らず読んできた、次にどういう展開があるのか楽しみ半分怖さ半分。
シリーズ全部読んでます。 面白いんですが、登場人物の相関関係とかわからなくなってきました。 相関図とか作ってもらえないでしょうか。
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流転の海
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宮本輝
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