宮本輝のレビュー一覧

  • 草花たちの静かな誓い
    ある日突然、莫大な遺産が転がりくむことになった小畑弦矢の心の動き、そして急死した菊枝・オルコットとの関係・人生が簡単に紹介された後、6歳の時スーパーで行方不明となったレイラ・ヨーコ・オルコットのこともその時の事実関係が書かれていた。
     本来、娘であるレイラが相続するべきものであるとの思いから、弦矢の...続きを読む
  • 草花たちの静かな誓い
    宮本輝の本を久しぶりに読んだ。すんなりと入ってくる文章であっという間に読み終わってしまった。
    宮本輝の作品に出会ったのは『約束の冬』
    内容もとても面白いけど、そこに出てくる小物遣いにも興味が湧いてくる。
    『約束の冬』では葉巻、『草原の椅子』では焼き物、本書では本格スープと庭の花々。まるで自分がそうい...続きを読む
  • 彗星物語
    ゆるーい、よくありそうな家族のお話。
    愛に溢れた、あったかい家族のお話。
    人と人の繋がりの大切さ
    忖度感情なく、見返りを求めない無償の愛。
    家族だからこそ、できるものだと思った。
    心あったまりました
  • 草花たちの静かな誓い
    中盤から予想はできていた結末でしたが、やはりそのことの不愉快さに胸がカッとなりました。
    彼女をそれから守ることはもちろん、自分の醜い感情からも守らなければならなかった気持ちが悲しい。
    宮本輝さんの本は自分の日常とはあまりにかけ離れていてもすんなりその世界に入り込める情景描写で大好きです。
  • ドナウの旅人(下)
    遂にドイツから始まったドナウの旅が終わった・・・という感じで、上巻から始まり、すごくはまりました!

    今では自由に往き来できるヨーロッパの国々も、この作品の時代は厳しい出入国審査があり、共産圏である東ヨーロッパでは自由に旅もできない。
    麻沙子とドイツ人の恋人シギィ、母親の絹子と愛人の長瀬、二組の旅人...続きを読む
  • ドナウの旅人(下)
    私もドナウ河に沿って旅をしたことがあった。だから題名に惹かれてこの本を手に取ったのだけど、微妙な感情の機微の表現に圧倒されてしまった。題名以上にインパクトのある話だった。

    ずっと続く散文的な展開が、ドナウ河を思わせるよう。ドイツからルーマニアまで流れていきながら、ついには黒海に注ぐ水の流れ。なんと...続きを読む
  • ドナウの旅人(上)
    私も10年前、ニュルンベルクから、レーゲンスブルク、パッサウ、そしてウィーンへとドナウ川に沿って旅をしたことがあり、この物語の主人公達が旅するのと全く同じ順番にドナウ川沿いの街がでてきて、私も見たその時の風景を思い出し、凄く懐かしく、もう一度訪れたくなりました。
    母親と若い愛人、娘と恋人、といった異...続きを読む
  • にぎやかな天地(下)
    三回めの再読。暫くすると忘れている箇所があったり、、刺さる部分が前回とは違ったり。今回は自粛中に読み始め、発酵物に興味を抱いたからだけど 人の心も熟す?熟れて(ナレテ)行く?
    お母さんと彦市さんの場面に感涙。前回はそれ程感じなかったのに。。

    ゆっくり ゆっくり 読みたい一冊。

    生と死は繋がってい...続きを読む
  • ドナウの旅人(上)
    「楽しい劇であろうと、哀しい劇だろうと、平凡な劇であろうと、劇のない人生に真のしあわせなんかありませんよ。そして劇は偶然に訪れたりしないわ。さあ、準備をしなさい。忘れ物はない?」

  • 森のなかの海(下)
    深いストーリー、泣けた。

    希美子に家や財産を託して亡くなった西岡カナ江とその若き日の恋人、室谷宗弥、そして二人の息子である典弥の数奇な人生が明かされる。宿命としか言いようがない、家族としてはある意味不幸な人生を生きながらも、それぞれがとても人として深いものをもっていたことが救いだと感じた。

    そし...続きを読む
  • 田園発 港行き自転車 下
    雪子がアメリカ文学を教えている老人から教わったエミリ・ディキンスンの詩

    もし私が一人の生命の苦しみをやわらげ
    一人の苦痛をさますことができるなら
    気を失った駒鳥を
    巣にもどすことができるなら
    私の生きるのは無駄ではない

    の一節が印象的。
  • 優駿(下)
    再読完了、やはり当方が読んだ古今東西のhorse racingものでNo.1。
    古き良き時代から社台、もっといえばノーザン1強への競馬シーンとしてはあまり面白くないともいえる流れが背景に見え隠れするなど、リアリティという意味でも出色。
    また、そんな知識無くとも人間ドラマとして結構重厚だし、ちょっとし...続きを読む
  • 田園発 港行き自転車 下
    読み終わった後の爽快感。
    おおらかな富山の田園。
    大人の人間模様が織りなす京都の花街。
    その中で人は関わり合い、成長していく。
    この物語は、自然とそこに暮らす人々が善意のもと、大きく変わっていくものだ。
    そして周りの大人たちが祐樹に与える無償の愛はこの物語の希望である。
  • 優駿(上)

    1987年吉川英治文学賞受賞

    個人的宮本作品金字塔。
    人物の主観が章ごとに変わり2回転ほどする。
    どの章も生への執着が強く感じられとても良かった。
  • 水のかたち 上
    評価が1から5まであって驚く。

    骨董の価値はその人が決めたそれで良いというのと同じだと思った。 本来の価値とは違う次元の価値。

    志乃子の価値を見誤ったのは すべての読者ではないかと思う。それを後半覆される。 どこにでもいる普通の主婦のはずだったのに。

    「自然にすなおで、自然に謙虚で、自然に礼儀...続きを読む
  • 星宿海への道
    「星宿海への道」
    読み終わった後、鳥肌がたつような一冊。

    弟の語り口から壮絶な過去を持つ兄との回想シーンから始まる。
    全ては繋がっている。
    輪廻転成や縁を感じずにはいられない。

    本来の星海宿、兄が想う星海宿。
    母が見た星海宿、全てはつまるところ繋がっていた。

    家族というものをもう一度じっくり考...続きを読む
  • 星々の悲しみ
    タイトルにもなっている「星々の悲しみ」が一番印象に残ったが、他の作品もいずれもとても良かった。
    宮本輝の小説はどれも叙情的で少し物悲しくて、でも読後は胸にストンと落ちてくるような不思議な気持ち良さを感じる。その感覚が癖になってどんどん読んでしまう。
    読んでいると自然と「生と死」について考えさせられる...続きを読む
  • 田園発 港行き自転車 上
    物語は15年前カガワサイクルの社長が出張先とは関係のない富山滑川駅で病死した先を娘と友人が辿る旅から始まる。

    北陸街道を自転車で巡る様子、富山湾やそれぞれの港町、そして黒部内陸の田園風景、川にかかる愛本橋の姿。
    行ったことのない見たことのない場所を地図を広げ確認して想像することが楽しくなる。父の死...続きを読む
  • 青が散る(下)
    上巻よりも下巻のほうが面白い。下巻のために上巻を読むべき。読後感:切ない。大人でも子供でもない、ある一定の期間だけに許される感情が描かれている。
  • 春の夢
    忍耐の大切さを教えてくれる。また読みたい。青春のエネルギーと不安定感。ふとしたときにあの世に一歩踏み出してしまうかもしれないような危うさと、その中でも何がなんでも生きてやろうという熱情と。