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聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、命の根源に迫る長編小説。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
ここで終わるのが潔い せめて発酵本かと思ってたけど、 それがテーマじゃないからね!って いやいや。それは宮本輝読者だもの、大丈夫だよね?って 読者を信じる姿勢だよ
三回めの再読。暫くすると忘れている箇所があったり、、刺さる部分が前回とは違ったり。今回は自粛中に読み始め、発酵物に興味を抱いたからだけど 人の心も熟す?熟れて(ナレテ)行く? お母さんと彦市さんの場面に感涙。前回はそれ程感じなかったのに。。 ゆっくり ゆっくり 読みたい一冊。 生と死は繋がってい...続きを読むる、、、
時の流れや縁など、目に見えないものが影響しあって、人生がより深いものとなる。その入口に発酵食品を持ってくるところに宮本さんの凄さを感じます。 発酵食品や本作り、京都に興味を持てたし、仕事に向き合う姿勢など色々と考えるヒントをもらえました。 「死は終わりでなく、遺された者にとっては、始まり」 『21グ...続きを読むラム』という映画を観た時に感じたことですが、この作品にも通じるところがありました。
発酵食品の成熟/人生の成熟 納豆と糠漬と、とろろ昆布に鰹節を入れた吸い物、それにご飯だけの日 質素だけど高級な食材で体調を整える。 続けるのは、難しいけど、人生感と合わせて、贅沢だと思いました。
出来事の作用、時間の作用。心の琴線に触れるどころか、心の襞にじわじわと染み入ります。宮本さんの本はやっぱり私の人生の友。
きれいな、ゆたかな世界。 私には聴こえるだろうか。 ○倦まず弛まず焦らず、ひとつずつ進めて完成させる。それが仕事というものなのだ(135頁) ○アクセルを踏みながらブレーキも一緒に踏むような生き方はあきまへんで ○勢いのあるときは、がんがん行きなはれ。それは年齢とは関係おまへん。若い人が伸びてく...続きを読むれんと、国は滅びますよってに(141頁) ・確信を持ってイメージすること ○ぼくは、雨あがりの、薄ぐもりの空の下の、濡れた鉄橋のように生きている(379頁) 2015.07.17 再読 ・かっこよくなくても清潔に生きる。 ・していい、ふり。 ・冥利が悪いことはない。
主人公の聖司が日本の伝統発酵食品をまとめる本を作る中で色々な人や物や考えに出会う話。 話の中で、その時は最悪だなと思う事が後々いい事に繋がるという場面がいくつかあった。今の自分の立場はどちらかと言うと悪いと思うが、それが後々プラスになったらいいなあと思った。 物語の中に登場する発酵食品は、どれ...続きを読むも作り出すのに年単位の時間がかかる物だった。いい物を作り出すのには、とても時間がかかる物だと実感したし、それは人間も同じじゃないかと思った。効率的にやる事は重要だが、コツコツ時間をかけて発酵食品のようにじっくり仕上げて行くのも同じく大事だと思う。 最後に、今回も登場人物や土地の描写がとても良かった。新宮の海辺で日向ぼっこしたくなったし、甲陽園の坂にも行ってみたくなった。 2022年3月
「倦まず弛まず焦ず」 「わかりにくいものをわかりにくく言うのは所詮偽物。ゼロから物を産む人は具体的で普遍的なことを知ってる」 「巧言令色鮮なし仁」 「学べば則ち固ならず」 上下で心に残った言葉です。 (正確に書けているかわかりません) 多分、受け止めきれていない言葉がたくさんあるんだろうなと思いま...続きを読むす。 また読み返すことになるんだろうなと思います。
カエルが やかましく泣いている中で 発酵している 酢の 蔵で 耳を澄ます。 宮本輝は 阪神大震災を経験することで なぜか雰囲気が 変わったような気がする。 『森の中の海』をよみ 『にぎやかな天地』を読んで感じた。 勇気って どこから湧いてくるのだろう。 天から 降ってくるわけではない。...続きを読む そして、勇気を 奮い起こして 自らの道をすすむ。 寡黙だった 祖母。 何も言わない 母親。 それが 聖司の なげかけた 言葉と行動で、 ひも解かれていく。 時間が 心の中のわだかまりと問題を解決してくれる。 いろんな想い 悩み 苦しみ そして 絶望さえもが、 時間という 発酵槽で かぐわしい 濃醇な コクを作り出す。 善人しかいない 物語は いいなぁ。 とりわけ 丸山が 何とも言えない 味を出しているがな。
「いいものを造るためには時間がかかる」 今、いちばん心にとめておきたい一言。 手技を持つ職人さんを尊敬するとともに、これ以上、職人といわれる人たちがいなくならないといいなと思う。私も無添加粉末ではなくて、鰹節をちゃんと使おうかな。
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