宮本輝のレビュー一覧

  • 螢川・泥の河
    文学的表現が美しく、内容も素晴らしい。
    こんな文学に出会えて良かったと心から思います。

    泥の河 太宰治賞
    螢川  芥川賞  

  • 青が散る(下)
    燎平のテニスの成長ぶりに目を見張った。
    また、ガリバーの躍進ぶり(歌手だけでなく私生活も)も非常に驚いた。
    一方、安斎の死は非常に残念でやり切れなさを覚えた。
    そして、燎平と夏子の関係は今後どのようになるのだろうか?

    最高の一冊でした!
  • 田園発 港行き自転車 下
     何か運命に引き寄せられるように登場人物が富山に集まっていく様がおもしろかった。
     登場人物もそれぞれ事情を抱えつつも嫌味のない感じで魅力的だった。それもあって話の中に入り込みやすかった。特に千春と佑樹のコンビは、田舎でゆっくり育った良さみたいなのが出てるような気がして好きだった。
     本の中では富山...続きを読む
  • 森のなかの海(上)
    まだ上巻ですが、面白くって一気に読み終わってしまいました。

    出だしこそ阪神淡路大震災の被害状況のあまりのむごさに、ちょっと読む手がとまりかけたのですが、夫と姑の不実から離婚へ、ひょんなことから奥飛騨の山荘に住むことになり…と、どんどん先が気になってしまいます。

    冷静に考えると、ちょっとした知り合...続きを読む
  • 道頓堀川
    橋から眺める道頓堀の光芒が目に映る様だった。朝陽を浴びた寂しげな街並み、ネオン輝く夜の歓楽街。川には歴史があり、そこで暮らす者にも人生がある。男の過去への後悔が川の濁りに似ている。歓楽街の光彩は過去を照らすが、決して未来は照らさない寂しさも孕んでいた。
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)
    とうとう最終巻まで読み終わってしまいました。
    第八部で妻子と別居することになり、殺伐とした第九部になるのかと思いきや、意外にものどかな日常が綴られていきます。
    一緒には暮らさないけれども、家族として互いを思いやりながら暮らす熊吾と房江は、もしかすると初めて穏やかな生活を手に入れたのかもしれません。
    ...続きを読む
  • 星々の悲しみ
    一つ一つ、綺麗な物語だと思った。
    人間のドロドロした感情、妬みや裏切り、執着など、負の部分が描かれているけれど、目を背けさせたいのではなく、ましてや正義感や正論で矯正しようというのでもない。淡々とした丁寧な文章が、非常に好ましく心地良かった。
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)
    ようやく読み終わりました。
    熊のおっちゃん、房江さんみたいな奥さんでホンマに良かった。
    もう一度通読したいと思いますが、今すぐは無理かな。
  • 星々の悲しみ
    短編集。発行されたのは1981年。でも20代前後の青年が抱える不安や期待っていうのは時代を経ても変わらないな、と思った。
    情景描写がとても心地良い感じ。そのシチュエーションがありのまま浮かんでくるような。シチュエーション自体も、現実味がある感じで好き。
    だけど、毎回最後が難しい。わからないから、何度...続きを読む
  • 草花たちの静かな誓い
    ミステリだと思い手に取った。想像していた内容とは違っていたのだが、とても良い一冊に出会えた。

    すっと物語に惹き込まれ、社会の光と陰を覗き見た気がした。ストーリーの展開に想像はついたのだけれど、それでも彼らの感情や行動を見守らずにはいられなかった。
    人間の表と裏、愛と憎しみ、尊敬と失望。時には人間で...続きを読む
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)
    この本を書き上げるために作家になられた。父の仇をうつために三十七年かけて「流転の海」を書き尽くした。これに心が動かないはずがない。
  • 草花たちの静かな誓い
    高校受験勉強時の問題集で出会った螢川に衝撃を受けて以来、ずっとファンです。この作品もやっぱり自分の中にスッと入ってくる文章、楽しめました。ミステリーとして読むと、もしかすると「?」となるかもしれませんが…
  • 星宿海への道
    ずいぶん久しぶりに宮本輝の小説を読んだ。何でこんなにしばらく読むことなかったんだろうと思うくらいいい小説だった。いや、この小説がいいという以前に、宮本輝の小説ってやっぱりいいなと思った。貧しいけど品がある人々の物語という感じがするのだ。この小説なんかもそうで、物乞い生活をしていた幼い雅人とその母親の...続きを読む
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)
    遂に最終章となった。
    松坂熊吾が71歳の人生を全うした。
    この小説からは多くの事を学んだ。
    男として、父親としての生き方を。
    大将と呼ばれ、人に対して優しく
    世話好きな熊吾は、その人の良さと
    経営者として、どんぶりな経営で人に騙されて、横領されたりして生活が苦しくなるが、
    なんとか逞しく生きていく。...続きを読む
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)
    長い大河小説を読み終えた。
    市井の人間ではあるが、含蓄のある言葉と人と人とを結び合わせる力を持った熊吾。
    その家族の戦後20年の話。
    逞しく変わっていく妻子に比べると転落と言えるような熊吾の生涯。
    最後に熊吾が愛した人々が別れに訪れるシーンに涙した。
  • ドナウの旅人(下)
    東ヨーロッパの町々や素敵な人々との出会いの描写、登場人物4人の心情の変化と衝撃のラストに宮本輝の長編小説にしばらく夢中になりそうな予感がした。
    人の嫌なところは長年過ごすうちに一つの美徳になるというのは確かにそうだなぁーと共感した。
  • 螢川・泥の河
    「泥の河」戦後高度成長期の裏で必死に生きている人々やその生活を読みながら、昔どこかで見たテレビや映画の暗い映像が思い起こされた。当時は遠い世界のように思っていたが、現実にあったのだと今は思う。
    信雄の両親が喜一姉弟に優しく接する心の持ち主だという所が良い。お祭りの場面は昭和の情景が鮮やかに蘇る。喜一...続きを読む
  • 螢川・泥の河
    螢川の圧巻のラストは忘れがたい。20年も前に読んだのに、様々なシーンが記憶に残る。日本の情緒を見事に捕らえている。
  • 三十光年の星たち(下)
    なかなか古臭い文章書くけどよい。#草花たちの静かな誓い に続いて素晴らしかったです。
    自分も30年後の自分を楽しみにできるよう毎日を精進していきたいです。
  • 三十光年の星たち(上)
    登場人物の心理描写、出来事の時系列がパズルのような順番で書かれている。
    主人公の人間らしい心情が繊細に書かれている。
    下巻が楽しみ。