宮本輝のレビュー一覧

  • 草花たちの静かな誓い

    一気に読めました

    宮本輝氏の書籍は読み始めると次の展開が楽しみで、時間の許す限り本に向かいます。今回も最初の2,3ページでそのモードとなり2日間で読み終えました。サスペンス調のようでもあり、また文面からの美しい情景、登場人物の温かく豊かな優しい心の持ち主が多い内容でした。現実ではこのようなことありえないと思え、私のよ...続きを読む
  • 地の星―流転の海 第二部―
    戦後の大阪で財を成したが 病弱だった子供を育てるために故郷愛媛の田舎に帰って ここでも熊吾流に大活躍する
    自然豊か そして人間も彩り豊かで 命を狙う極悪人から 地味豊かに包み込んでくれる善人まで 味わいが濃い そんな中で人が死に生まれる 
    次巻活躍するだろうと思うとその幼子からも目が離せない

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  • 流転の海―第一部―
     主人公は愛媛弁丸出しでアクの強い大男・熊吾 
    学歴はないがずば抜けた才覚と持ち前の気風の良さとで事業を拡大し一家をなす
     他の登場人物の話し言葉は 当時のあの辺りの大阪弁そのままで 違和感なくしみ込んで来る この人達は 多分作者が実際に見聞きした人たちで ただ順にポケットから取り出して 勝手に...続きを読む
  • 森のなかの海(下)
    長編を読むことが得意でない私が
    上下巻 飽きることなく読書を楽しめた

    突然の主人公の環境変化には
    少々驚いたが、
    同時に始まった老婦人の謎解きは
    最後の最後まで、興味深く読むことができた

    想像していた再会とは違っていたが
    双方の心の動きが切なくて、涙がこぼれた

    また、戦争中の時代背景を知るにつ...続きを読む
  • 青が散る(下)
    まさに青春物語

    自分もこれくらいの大学時代を過ごせればと、今となっては歯がゆく感じる
    皆目指すものが有り、時にはクールに、時には真っ直ぐに藻掻きながらも最後には現実を突きつけられるが、その経験がかけがえのないものとなっていく
    まさに、「青(青春)が散る」

    最後の文章がこの物語の全てなのだと思う
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  • 胸の香り
    初めてこの小説を読んだのは高校生のときでした。それからずっと、宮本輝さんの短篇についての考え方が書かれている「あとがき」が印象に残っていました。
    短篇が7作収録されているのですが、どれも短いなかに凝縮されていて、頭の中にどんどん物語の世界が広がっていきます。読む人の状態に合わせて変化する、大好きな短...続きを読む
  • 優駿(下)
    ”生まれる仔馬が牡馬でありますように。風の申し子のように早く、嵐のように烈しく名馬の天命をたずさえて生まれますように。”北海道の小さな牧場で生を受けた一頭のサラブレッドオラシオン。北海道の大自然が育む緑と光の原野の中で育ち、順調に競走馬への道を歩み始める。そして生産者、馬主、騎手、調教師等の命をモチ...続きを読む
  • 三十光年の星たち(下)
    男は老人から起業したい人向けの融資事業と融資事業から店をオープンした女性から伝説のソースを引き継ぐことになる。
    男は老人たちを通して、自分は何をすべきかと人生の覚悟を磨いていく。
    人間としてどうありたいか。ちょっと参考になる本。
  • 三十光年の星たち(上)
    迷える若者に読んでほしい1冊だと思う。
    なぜ注目されなかったんだろう。はっきり言ってそう思う。
    主人公の男は何をやっても中途半端なままで来てしまった30歳。
    でも佐伯老人との出会いが人生を変えていくことになる。
  • 水のかたち 下
    平成28年9月

    主人公の人生が平凡だったものから変わっていく。
    その中で主人公の中にあるものは変わらず大切に一滴一滴の力を大切に。

    ファニー(偽物)が世界を席巻している時代。
    偽物、まがいもの、うらっつらだけ。そういうのに人間は騙されやすい。
    一丈のほりを越えぬもの、十丈二十丈のほりをこうべきか...続きを読む
  • 水のかたち 上
    平成28年9月 

    主人公の志乃子は、夫、子供3人の平凡な主婦で50代に突入。
    そこで、人生について考える。考えさせられる。動かされる。
    主人公、姉、友達のジャズシンガー少しずつ変わっていく。


    心は巧みなる画師のごとし
     心には心に描いたとおりになっていく、そんな凄い力がある。
    命は食なり
    石に...続きを読む
  • 青が散る(下)
    大阪郊外の新設大学に入学した主人公たちが4年間、テニスに打ち込み、恋に焦がれ、人生のとば口を知る青春小説の金字塔。
    描かれる恋は全てが一方通行。
    登場人物たちのもがく姿が愛おしい。
    青春小説、学園小説の類は随分読んだが、学生時代の鬱屈をこれほどまでに描いた作品は無いのではないか。
    大学が「4...続きを読む
  • 優駿(下)
    物語は、牧場、騎手、馬主、社長、秘書と様々なシーンの主人公が、それぞれの想いを胸に精一杯生きた生き様が交錯する展開にグイグイ惹かれた。
    また話の流れも色々人が死んだり予想外の展開に驚きの連続で一気読みでした。

    余談だけど、若い頃、競馬に没頭して、北海道にわたり馬に乗っていた頃を思い出した。物語の時...続きを読む
  • 彗星物語
    関西弁が心地よく、敦子お母さんの目線で書かれているけれど、子供たちの気持ちも手に取るようにわかって泣けました。それぞれのキャラクターの設定がしっかりしているからだと思います。
  • ドナウの旅人(下)
    前から気になっていたこの本をついに読み終わりました。
    冷戦終結前の時代に、ドナウの源流から終わりまでの長大な旅。現代とは比べものにならないくらい大変な旅だと思います。
    物語の最初のうちは、これはマサコの物語なのかなと思ったけれど、意外とすぐにシギィとの再会と婚約があり、そして長瀬目線の語りが入ってき...続きを読む
  • 私たちが好きだったこと
    レビュー評価に惑わされてはいけない。今まで読んだ宮本輝作品の中で一番沁みた。あぁ、なんでそうなってしまうんだろう。
  • 人生の道しるべ
    世の中を少しでも良いものにしたい、生きるって悪くないと伝えたいと思いながら小説を書いているお二人の対談。病気など苦しいことも体験してきたからこその深い言葉。しぼんでいた風船に少しずつ空気を入れてもらった気分で読み終わった。

    二人に共通する、「現実世界では理不尽で大変なことばかりだからせめて小説では...続きを読む
  • 生きものたちの部屋
    宮本輝さんが、どんな風にして作品を生み出しているのか垣間見ることができました。面白く読めました。特に最後のエッセイ、阪神淡路大震災についてのエッセイは、辛い。当時、尼崎に住んでいた頃を思い出しました。さらに、今自分が直面している熊本の状況、すごく辛く、涙が出ます。無気力感に絶望します。
  • 水のかたち 上
    宮本輝の作品には、いかに多くの心根の正しいたちが出てくるのだろうか。
    石椀のお金と手文庫の手紙のこれからが、とても気になる。
  • 新装版 命の器
    エッセイの中に出てくるお父さんの記述が気になりました。流転の海を読んでいるから余計かもしれません。宮本輝さんの名作が、何をきっかけに書かれたのかもわかって興味深かったです。