胸の香り

胸の香り

468円 (税込)

2pt

ある日、入院先でふとすれ違った人に懐かしい匂いを感じた。あれは亡き夫の体から立ちのぼる、忘れがたい独特な香り。なぜ他人の体から同じ香りが…表題作。夫の不義理から、失望のあまりアルコールにおぼれ醜態を晒す母。そんな母にも譲れないプライドがあったことを、一人息子が知り…「しぐれ屋の歴史」。男と女、母と子、人それぞれの愛憎と喜び、哀しみを陰翳深く描く。長篇作家のイメージが強い著者が20年間に書いた36本の短篇のうち、珠玉の7篇を収録。

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胸の香り のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2016年12月23日

    初めてこの小説を読んだのは高校生のときでした。それからずっと、宮本輝さんの短篇についての考え方が書かれている「あとがき」が印象に残っていました。
    短篇が7作収録されているのですが、どれも短いなかに凝縮されていて、頭の中にどんどん物語の世界が広がっていきます。読む人の状態に合わせて変化する、大好きな短...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年04月30日

    久しぶりの宮本輝。やっぱりとても巧い上手い大人の7話短編集。

    あとがきに「30枚でちゃんとした短編が書けない作家は2流と言われたことが、犯しがたい約束事と残った」を見事に実現されてる。
    1話30ページに満たない作中に、人物の人と成り、心情がしっかりと。

    7話とも物哀しい喪失感が漂う。
    90年代に...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年09月24日

    若干、起承転結が崩れている箇所もあったけれど独特の物寂しさが全体に染み渡っていてとても良かった。やるせなさに襲われるがそれがまたいい。

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    Posted by ブクログ 2016年03月24日

    宮本輝の短編集。年齢が近い主人公も多く、共感と言うよりも、胸の奥底を見透かされている感じ。それもそのはず。著者にとって短編小説は「血の一滴を無理矢理絞り出すかのような労苦を強いる」のだそうだ。しかも、それを表さないようにしているというのだから、尚更だ。

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    Posted by ブクログ 2013年10月01日

    月に浮かぶ

    80歳近くの母親が、お腹がいっぱいとなって
    それが 自分が妊娠したと思い込む。
    それを看病する 妻。
    そして、愛人が妊娠したと聞いて、何らかの覚悟を決めざるを得ない。
    海に映る 満月が 母親のお腹に見える。
    いろんなものを 失うことで、人は生きている。

    船を焼く

    海岸沿いの静かな宿...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2010年11月23日

    哀愁漂う大人たちの短篇集。それぞれの過去や、誰かを不幸にしている状況すべてひっくるめて郷愁をさそう話ばかり。

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    Posted by ブクログ 2009年10月04日

    短編集は物足りない感があって苦手。
    だけど、この作品は短編ながら中身が濃い。 印象的で良い余韻を残す作品ばかり。たまに読み返したいそんな作品。

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    Posted by ブクログ 2009年10月04日

    久々に宮本さん読みました。

    3時間くらいあれば、がーっと一気に読めちゃう短編集ですが、この方の独特の余韻と言うか、雰囲気というか、短編なのに、じわじわと心に響くかんじで、さらっと読めるのに奥が深いです。読後感も悪くないし、けっこう好きです。

    色んなパターンの人と人とのつながりを魅せてくれる1...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2009年10月04日

    宮本輝さんの短編集。7篇の短編小説を収録。
    「月に浮かぶ」が好きです。
    海に浮かぶ月を見る。
    静かな海に船を出し、杯をかわしながら月見をする。まるで手に届くほどの距離で、水面に月が浮かぶ。この情景描写がとても美しいと感じました。

    どの小説にも、宮本輝さん独特の、妖しげな雰囲気、暗い陰が漂っ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2009年10月04日

    新しい短編集です。月に浮かぶ 舟を焼く さざなみ 胸の香り しぐれ屋の歴史 深海魚を釣る 道に舞う編の7短編が収められています。それぞれの作品の言葉に深い意味が込められてます。道理とか理由で物事を片付けようとしますが、人生はそれだけで割りきれないのだというメッセージがあるように思えました。

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