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幼き日、母に捨てられ、寄る辺なき人生の途上に立ち尽す兄と妹。青春との訣別の時。2人は自らの生の証しを求め、母の面影へと通じる「海岸列車」に乗る……著者は「あとがき」でいう、「真剣に生きているまっとうな妻子ある男が、そう簡単に、まっとうな若い娘と深い関係を結ぶわけにはいかない」と。ファッションのような手軽な“不倫”ではなく、命がけの愛の姿を描き切ったこの物語は、宮本輝がまっとうに生きようとする女性たちに贈るメッセージでもある。
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Posted by ブクログ
この本を読んだのは20年くらい前で、読んだ後に鎧駅に行った。それだけでも人生に何らか影響を与えてくれた本だと言うこと。あとは宮本輝の後書が良かったという印象。
二十年ぶりの再読。 当時の読後感の記憶は全くなかったけれど 読み直してみて、 宮本さんの小説の中でも とても印象に残る作品となった。 読み終えて、登場人物たちの行く末を案じたり、 祈ったりといった余韻の深さがそのひとつ。 いつかふと実感したり こういうことなのかもと感じることがあるに違いない ...続きを読むと思えた心に深く沈殿したことばの多さがひとつ。 登場人物たちの他者たちとの関係性のリアルさや多面性がひとつ。 たとえば、クライマックスでもある 夏彦とかおりが実母と再会するシーンなどがそうだ。 またいつか 読み直してみたい。
過去の清算。原点。リセットそして決意 運命と闘う事が生きるという事 人間の拠り所。 人間のリアリティを追究する宮本文学の真髄だな。
これまた何度目の再読か分かりませんが。 本当は上海に旅行する前に読もうと思っていました。 でもかおりと戸倉先生の微妙なシーンは上海じゃなくて北京だったね、勘違い。 読むたび、働く姿勢について考えちゃうんですが、もう年齢的にはとっくに高木澄子さんとか戸倉先生寄りなのに、 いつまでもかおりの位置から考え...続きを読むてしまう私は甘ちゃんです・・・ (本の刷られた年を見ると)最初に読んだときは、多分かおりのひとつ下だったんだよなー。感慨深いです。(2009.10.1.)
私利私欲を憎め。 私利私欲のための権力と、それを為そうとする者たちと戦え。 自分は俗物だなぁ、と思いました。
200512 かおりと夏彦の関係、夏彦と澄子の関係、かおりと戸倉の関係・・・等、いろいろな人との関係性から人物像が浮き上がるところが好き。鎧という場所も象徴的だった。
お兄ちゃんのキャラが得だ。お母さんはちょっとかわいそうだったが、後で会いに行くようだし、よしとしよう。著者のあとがきも印象的。
本当に読みやすかった。いい具合で先が気になってどんどんページをめくっていったので、すぐに読み終わってしまった。1992年と22年も昔に書かれているのに色あせていなかった。 父を亡くし、母は男を作って出て行ってしまった。兄とともに父の兄の元で生活をする。叔父がなくなり主人公のかおりは25歳の若さで伯...続きを読む父の後を継いで社長になる。兄は10歳以上年上の女性の元でヒモのような生活を送る。社長として頑張るかおりと生活を一変させる兄のお話。
やはり女性を描くのがうまい。 両親が離婚し、どちらにも引き取られず叔父に育てられた兄妹。 叔父の死によってそれぞれが経験した出来事によって生き方を変えていく。共通の知り合いたちがまた魅力的で兄妹に良い影響を与えている。
「海岸列車」 宮本輝(著) 独りの女性の自立の物語。 小説を描くには、あるフィロソフィーが必要である。 どう励ますか。 励ますうえで、何がそのKEYとなるのか。 女は訓練のしがいがない。 ニセモノやホンモノを見きわめる目や思考方法 more studying → モス・クラブ 上昇志向 「人...続きを読む間が、本当の意味でおとなになるのは、 五十才をすぎてからよ。」 俺は、五十をすぎた人間の情熱以外信じない。 「私利私欲を憎め。 私利私欲のための権力とそれを為さんとする者たちと闘え。」 「私の煙草は、私の歴史なんです。 歴史はやめられません。」 天降大任於凝斯人 必先労其筋骨 苦其心去。 「天は、大任を帯びた人間に対して、 必ず先に、その筋骨への労と、 その心や意志への苦しみを降らせる。」
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