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「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る――。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。
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Posted by ブクログ
紅、朱、橙、黄 色とりどりの紅葉を目にする度、私はこの「錦繍」を思い出さずにはいられないだろう。 錦繍【きんしゅう】 1.錦(にしき)と刺繍(ししゅう)を施した織物 2.美しい織物や立派な衣服 3.美しい紅葉や花のたとえ 4.美しい字句や文章のたとえ 蔵王のドッコ沼へ向かうゴンドラの中で10年...続きを読むぶりに偶然再会した元夫婦 勝沼亜紀と有馬靖明。そんな2人の往復書簡のみで綴られた小説。 別れて10年の歳月が過ぎたというのに、当時を振り返り相手のことを思い、いく枚もの便箋に何時間も何日もを費やして書かれた手紙。 時に冷たく突き放す有馬。しかし再びやり取りが始まると、そんな有馬からも品を感じる。 手紙の丁寧な文章にどんどんと引き込まれ、2人の思いが染み入るように伝わってくる。 あの時の本心。 伝えたかったこと。 ようやく気がついた相手の気持ち、自分の気持ち。 書くことで少しづつ整理されていく。 かつて7年もの間 本当に愛し合っていた2人だからこそ交わすことのできる心と心の答え合わせ。 そんな手紙を読みながら、どれだけお似合いの夫婦だったのだろう、と想像せずにはいられない。 あの日、あのことさえなければ2人は永遠に幸せだったのかもしれない。 この物語の主役は亜紀と有馬に違いない。けれど 有馬の不倫相手であった瀬尾由加子、有馬の同棲相手である令子、星島家のお手伝い育子さん、それに亜紀を含めた4人の色とりどりの女性の「錦繍」であるようにも思えた。 有馬は亜紀への手紙の中で令子のことを 「この厄介な男を大切にしてくれる気立の優しい女ですが、私は愛情を感じていません」と記している。 しかし有馬の手紙の内容は令子との今の暮らしや令子がどんな女かという事ばかりである。 有馬は亜紀への手紙を書くうちに令子の存在の大きさや 自分の令子への気持ちに気付いていくように見える。 一方 亜紀は有馬への消すことのできない愛情を曝けつつも、有馬からの手紙を読み 今まで見て見ぬふりをしてきた現在の夫とのこれからの関係について、あたり一面の「錦繍」を見ながら重大な決断を下す。 2人が手紙をきっかけによりを戻すのではなく、これまでの人生を整理し、また歩き始めるところに この物語の美しさがあるように思う。 手紙はメールやLINEのように一瞬では終わらない。 相手からの手紙を読み、その返事を書き終えるまでの数日感、何度も相手のことを思い浮かべ、文章を反芻し、一文字ずつ自分の手で書いていく。 返事を書く間にも、相手から届いたその手紙を何度か読み直すはずだ。 相手を思う気持ち、相手に費やす時間、その全てが 今よりも遥かに大きく真っ直ぐなものである。 テレビを見ながらとか、電車の中でとか、何かの隙間時間に、なんて返信できない。きちんと机に向かって真正面から取り組まなければならない。 そう思うと、いつから人は人と真剣に向き合わなくなってしまったのだろう。 相手のことだけを思い、机に向かい、ただただ手紙を書くだけの時間。 それがどれだけ愛おしい時間なのか。 2人の往復書簡もまた「錦繍」なのだ。 実際に手書きの往復書簡が冊子になれば、その字体から、心情や気持ちがありありと読み取れて、世界一の名作になるのではないか、なんて妄想をしてみる。 余談 この本を読むまで私の大好きな1冊は夏目漱石の「こころ」だった。 (「こころ」の第3章は先生からのとてつもなく長い手紙だ) でも、この「錦繍」を読んでその気持ちがグラグラとしている。 ただひとつはっきりしていることは、きっと私は人の手紙を盗み見るのが好きなのだ、ということ。 ➖➖➖➖➖➖ 備忘録 亜紀と有馬の手紙 1月16日 亜紀 1通目 3月 6日 有馬 1通目 3月20日 亜紀 2通目 4月 2日 有馬 2通目 6月16日 亜紀 3通目 7月16日 亜紀 4通目 7月31日 有馬 3通目 8月 3日 亜紀 5通目 8月 8日 有馬 4通目 8月18日 亜紀 6通目 9月10日 有馬 5通目 9月18日 亜紀 7通目 10月 3日 有馬 6通目 11月18日 亜紀 8通目
山形文学紀行で紹介された本であるが、蔵王温泉は一場面しか出てこない。その場所で別れた夫婦が偶然に再開する。しかし、多くの場面は関西であり、大阪であり京都である。
昔はこうして連連と手紙を書いたものでした。 本当は別れたくはなかった、本当は今も愛し愛されていることがわかった。でも一緒にはなれない現実もある。 女は、生きることと死ぬことは同じと感じ、その言葉に男は、己の為した全ての行為、心に抱いた思念は、死の世界へ移行した自分を打擲すると伝えた。 過去に囚われた...続きを読む苦しみが、希望に満ちてくる瞬間がある。その時、美しい錦の織物が紡がれたように感じました。 この人の作品は本当に素晴らしい!
東京も紅葉がたけなわ、久しぶりに読みたくなりました。 往復書簡の形式。 互いに愛し合いながらも思いもよらぬ別れで傷つきなお生きてきた元夫婦が、 それぞれの人生で立ち直って生きていく話です。
書簡体小説といわれるものは、夏目漱石の「こころ」がはじめてでした。手紙は一方的なのですが、その人の感情が痛いほど感じとれるものだと思います。それを読んで泣いたのを覚えていますし、小説にはまったのもそれがきっかけだったような気がします。それほど強く衝撃を受けたものでした。 「こころ」は往復ではなく片道...続きを読むのたった一通の手紙でしたが、「錦繍」の手紙は男女でやりとりされる往復で、最初から最後まで手紙のみ。 昔夫婦だった二人が久しぶりに再会し、手紙のやり取りをはじめるのですが、1ページ目から心をぐっと掴まれます。読むのをやめることが出来なくなりました。 内容は男女の激しいものですが、書簡体なので印象としては文章が静かに流れていく感覚を覚えます。 とても好きな小説ですが、はたして人に勧められるかと問われると考えてしまいます。本当に本が好きであるだけでなく、酸いも甘いも経験した大人向けとでも言っておきましょうか。 でも決して破滅的な内容ではなく、あらすじにも書かれているとおり「再生」を強く感じた物語でした。
テレビで紹介されていたので読んでみた。興味深い視点で、手紙の持つ不思議な言葉の力を感じた。最近では手紙で言葉を交わすという行為は全くと言っていいほど無い。訳あって友人と3年ほど手紙でのやり取りをしていた経験があるが、手紙でしか伝えられない言葉があると思う。深層心理のような、精神論のような、口に出すと...続きを読む恥ずかしいことも言えてしまう感覚。 この作品にはその感覚を思い出させる手紙のやり取り、感情のこもった言葉や描写が物語を作っていて手紙の内容である事を時々忘れてしまうほどだった。 未来へ向けてお互いが自身の人生に向き合い、決意する最後の手紙にはモノトーンだった過去の描写に対してカラーが入っていく感覚で晴れやかだった。
10年前に離婚した亜紀と靖明が、蔵王のゴンドラで再開する。心中事件を起こして離婚した靖明に、再婚して障害児を持つ亜紀が手紙を書く。刃物で刺されるという凄惨な事件で別れた元妻と夫が、相見えることなく文字だけのやりとりをはじめ、繰り返す。二人が出会う前のこと、二人でいたときにその影であったこと、二人が別...続きを読むれてその後のこと、すべてが見事な文章で綴られていく。別れていた時間、書いてから届くまでの時間、返事をまつ時間、そばにいて言葉を交わすのとは違った時間の流れを思うだけで胸がつまる。書いている間にも相手の時間は流れ、待つ間にも二人の時間は流れ続ける。
秋に読んでとても好きになった作品。 お互いが幸せになるための人生をそれぞれ歩んでいるが、過去の夫婦生活が特別なものであったのには変わりない。 相手の幸せを願ってはいるけれど、どこか哀しく寂しさを感じる作品でした。 非常に文章が美しく、日本語って素晴らしいなと改めて感じました。
映画化されることを期待します、
宮本輝さん著「錦繍」 宮本輝作品の中でも人気上位の未読の作品をと思いこの作品を選んでみた。 作品は離婚した元夫婦関係にあった男女の手紙のやり取りだけで構成されている。 携帯電話が主流の今の時代、「手紙」でのやり取りという作風がとてもノスタルジックに感じられ、言葉の気品の高さもあいまって妙に味わい深...続きを読むい雰囲気を感じさせられる。 人が口を揃えて「名作」と位置付ける理由がよくわかる作品だった。 手軽で利便性に富んだ携帯電話。 今の時代では当たり前に電話、メール、ライン等でメッセージを送受信できる。 誰の生活にも無くてはならない必需品であり、また個人の一部といってもいい位の重要ツールでもある。 それがなかった時代では… この作品のように手紙をしたため、時間をかけながら何度も往復させながらのやり取りしたことだろう。 現代にはない、奥ゆかしさや知性が文面の手紙に込められているように感じられ、逆に斬新に感じられる不思議な感覚を得られる。手紙を書くという行為自体がとても清純に感じられ、自白していくその心をまるで写し取っていく行為に感じられた。 漂う気品の高さ、とても良い作品だった。
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