城山三郎のレビュー一覧

  • 硫黄島に死す
    「城山三郎」の戦争小説を中心とした短篇集『硫黄島に死す』を読みました。

    「城山三郎」作品は昨年の夏に読んだ『一歩の距離 小説 予科練』以来ですね。

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    〈硫黄島玉砕〉のニュースが流れた四日後、ロサンゼルス・オリンピック馬術大障碍の優勝者「西中佐」は、な...続きを読む
  • 冬の派閥
    時は幕末、幕末の表舞台といえば、やはり、京都、江戸、そして薩長土肥。
    しかし本作の主役は、徳川御三家の尾張藩。本来は圧倒的に幕末に影響を与えていてもおかしくない立場にありながら、今では大して気にも留めらていない。まさに冬の時代。それは藩主徳川慶勝の「熟察」を旨とした精神によるものだった事が滔々と語ら...続きを読む
  • 一歩の距離 小説 予科練
    「城山三郎」が太平洋戦争末期の若者たちを描いた作品『一歩の距離 小説 予科練』を読みました。

    「城山三郎」作品は昨年の夏に読んだ『指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―』以来ですね。

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    司令は静かな口調で命令した。
    「戦局を一変させるべく、帝国海軍...続きを読む
  • 官僚たちの夏
    城山三郎強化期間により、数年ぶりに再読。
    尻切れトンボな終わり方はさておき、戦後ニッポンの国づくりに燃えた通産官僚たちの汗と涙が目の前に飛び出てくるような錯覚すら覚えた。

    片山のようなタイプの人間が、昭和40年代の日本にもいたことに驚かされた。
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)
    何年か前にドラマ化されていて、
    テレビCMで田村正和が「そうか、もう君はいないのか」と呟いていた姿が今も忘れられない。
    ドラマは見なかったけど、ずっとそれが残っていたのが、本作を読むきっかけ。

    こういうふうに、パートナーと寄り添って死んでいきたいなと思う。
    ずっと仲良しで生きていきたいなと思う。
    ...続きを読む
  • 男子の本懐
    緊縮財政と行政整理を行い、金解禁を実行した浜口雄幸と、その盟友井上準之助の物語。性格や言動も異なる二人が、どのようにして日本経済建て直しに命をかけ、金解禁を実行したのか。そして、無念の凶弾に倒れたのか。
    昭和の気骨のある政治家の物語として、胸を熱くして読み進められました。特に、浜口が東京駅で銃弾を浴...続きを読む
  • 毎日が日曜日
    城山三郎強化週間真っただ中。

    「何が幸せか」、「何のために生きるのか」を、様々な(典型的な)キャラクターに仮託して問いかけてくるという作品。内容柄、山崎豊子氏と比較されることが多いと思うが(かくいう私も『不毛地帯』や『華麗なる一族』を先に読んでいた)、城山氏による本作は、商社マンの壮絶な人生を描き...続きを読む
  • 逆境を生きる
    日本近代史のおける政治家の生い立ちや人となりに触れながら、読者に対して自分は何をすべきなのかを投げかけてくる。self, intimacy, achievementの三項目を私自身の中でも振り返り、今後の糧としていきたい。
  • 男子の本懐
    果たして金解禁の意味は良くわからなかったけれども、蓄財や名声の為でなく動いている姿は、現代に生きる私には理解は到底及ばないです。
    最後の墓が並んで立ってる描写好きです、青山霊園行かなければ。

    個人的に高橋是清がダメな方で描かれていたのが新鮮でした。
  • 落日燃ゆ
    日本史をほとんど勉強したことがないのと、一般教養不足なのもあり、誰のことを言っているのか、なんのことを言っているのか分からないことが多く、かなり読むのに苦戦した。登場した政治家の中ですぐ分かった者といえば吉田茂くらい、、それもこんな人物だとは全く知らず新鮮だった。

    戦争という悲劇を招いたとはいえ、...続きを読む
  • 雄気堂々(下)
    明治政府の高官として採用、下巻では洋行を経て若さだけの彼は過ぎ去り、老練という表現が相応しい存在となる。明治の元勲に負けず劣らずの行動を経済界で示し、上巻とは違って経済小説が得意な著者の本領発揮されている。明治時代に活躍する偉人がたくさんでてきますし、青天を衝けでとりあげられたエピソードもいっぱいで...続きを読む
  • 官僚たちの夏
    何回目かの再読。
    初読は大学で。役人に興味があった。
    2回目は若手社会人の頃。
    3回目、ガンで余命宣告を受けた親父がなぜか読んでいたのを見て。勤め人としてのあれこれを思い出していたのか。
    そして今回。当たり前だが、読後感は毎回大きく異なる。

    昭和30年代のあらゆる意味でありえない働き方、理不尽。
    ...続きを読む
  • 創意に生きる 中京財界史
    幕末から昭和初年の資本主義黎明期、保守的、排他的、消極的な名古屋市の土地柄から創意をもって経済発展を成し遂げた経済人たちがいた。城山三郎が本名の「杉浦英一」名義で1956年に刊行された幻の処女作新装版。
  • 落日燃ゆ
    A級戦犯とは「平和に対する罪」で訴追された者を指し、B級戦犯、C級戦犯はそれぞれ「通例の戦争犯罪」、「人道に対する罪」であるようだ。では「平和に対する罪」とは何なのかというと、「侵略戦争を計画、準備、遂行し、共同謀議を行なったかど」とのこと。

    日本では極東国際軍事裁判にて28名がA級戦犯で訴追され...続きを読む
  • 役員室午後三時
    経営に近い立場に自分にとって反面教師となり示唆に富んだ一冊。常に広義のステークホルダー(従業員、サプライヤー、ライバル企業、、、なども含む)とWinWinの関係を築き上げる事こそが経営に求められている事かと。一人勝ちの経営ではいずれ破綻をきたすという象徴的な事例ですね。
  • 落日燃ゆ
    極東軍事裁判で死刑判決となった7人中6人は軍人で、判事団の票は7対4で死刑だったのに対し、残り1人は文官である広田弘毅で評決は6対5の僅か1票差。オランダ代表判事の意見書では「文官政府は軍部に対しほとんど無力であった」中で広田は十分な努力をしたとして全ての起訴事実について無罪を主張した他、フランス代...続きを読む
  • 雄気堂々(下)
    下巻は、明治新政府で改正掛を立ち上げ、建白書を次々と提出し、改革の先鋒となる渋沢栄一の活躍が描かれる。
    対立する者の意見もよく聞き、調停の名人であったが、ぶつかる壁も厚かったようだ。
    大久保利通と衝突し、栄一に国造りの神々となってほしいと頼まれた大隈重信とも意見を異にするようになる。
    合本主義の夢を...続きを読む
  • 雄気堂々(上)
    今年の大河ドラマの主人公渋沢栄一の業績を振り返ろうと、76年刊行の文庫を棚から取り出し、約30年ぶりに再読。
    しかし、字は小さく(1行43文字)紙面は褪色、読みづらいので仕方なく(笑)2003年改訂版を購入。
    こちらは1行38文字で、たった5文字の違いながらはるかに読みやすかった。
    上巻は、血洗島の...続きを読む
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)
    太陽の様に明るい妻。思いもかけず早くに妻を失い、その後7年は家にほぼ帰らず仕事場で過ごした。妻との出会いから別れまでを戦中を過ごした古武士の様な文体で綴られている。
    祖父の文体にも似て、不思議と懐かしさを感じた。
  • 男子の本懐
    R3.8.13~9.25

    (あらすじ)
    緊縮財政と行政整理による<金解禁>。これは近代日本の歴史のなかでもっとも鮮明な経済政策といわれている。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、多くの困難を克服して昭和五年一月に断行された金解禁を遂行した浜口雄幸と井上準之助。性格も境遇も正反対の二人の男が...続きを読む