城山三郎のレビュー一覧

  • 雄気堂々(上)
    幕末維新激動の中、渋沢栄一が武州の一農夫から明治新政府の一員(租税正、今で言えば財務省主税局長)として招かれるに至る迄がこの上巻で描かれる。尊王攘夷に燃え仲間と共に討幕の行動を起こす決意をしその機を常に窺い乍らも世の中は目まぐるしく変化し続け、なかなかその意を遂げる事が出来ない。しかしそんな中でも、...続きを読む
  • 雄気堂々(下)
    最後の物語の展開は早かったが、渋沢栄一の人生と、日本の動きが連動しているダイナミックな動きを感じることができた。

    自分を生かしながら、人を信じ、人のために生きるとはどういうことなのか。
    私も常にその視点を忘れないように生きていきたい。
  • 落日燃ゆ
    まず広田弘毅という首相・外相がいたことを知らない。そして極東裁判でA級戦犯として絞首刑になった7名のうち、ただの一人の文官であったことも知らない。太平洋戦争は軍人の戦いとして様々な作品になっているが、その陰で、戦争に転落する日本を食い止めようとした文官の戦いがあった。
    広田の述懐として「この戦争の何...続きを読む
  • 雄気堂々(下)
    勇気堂々、斗牛を貫く
    人格形成、国家形成、時代形成。
    八百万の神達、神計りに計りたまえ。
    やろうとしていることは、すべて知識も経験もないことばかり。わからんものが智慧を出し合い、これから相談してやっていこうとしている。
    いつの時代も混沌としているから先例は役立つ。しかし全てではない。知恵と勇気を持っ...続きを読む
  • 雄気堂々(上)
    自分の変わり方について「生も大いに老練用ゆるところこれある人物に相成り申し候」と書く。
    老練とは久しく経験を積み、物事になれて巧みなこととある。
    環境は人格形成に影響する。広い視点を養うようにしたい。
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)
    夫婦愛にほっこりしたあと、娘さんのあとがきが涙で霞んで読みづらい。
    「五十億の中で ただ一人「おい」と呼べるおまえ
    律儀に寝息を続けてくれなくては困る」

    結婚当初から、一緒に長生きしよう、と言ってくれ るパートナーとできる限り長く一緒に幸せに暮らしたいなぁ、と改めて強く思った次第。一緒に長生きと言...続きを読む
  • 男子の本懐
    「静」の浜口雄幸と「動」の井上準之助。対照的な二人の人生が金解禁という大事業を前に交錯し、政治を動かしていく様を史実に基づいて生き生きと描いた傑作です。二人は対照的でありながら、働くことについての信念や経済観などの核心部分では通低している部分があるように思え、そこもまた面白いです。

    二人は、戦前、...続きを読む
  • 落日燃ゆ
    文官としては唯一A級戦犯で処刑された広田弘毅の伝記です。
    外交官として地位を築き、望まない戦争に巻き込まれていく広田弘毅をえがいています。
    読み終わった後、広田弘毅の生き方のファンに慣れるような本です。
  • 役員室午後三時
    面白い!!

    「官僚たちの夏」でも感じたことですが、登場人物の躍動感、リアリティを描くのが抜群に上手いです。
    単純な善悪二元論、勧善懲悪的世界観ではなく、「それぞれの正義」がぶつかり合い、ハレーションを起こすことで物語がいきいきと進んでいきます。

    とても読み応えがあり、経済小説の傑作だと思います。...続きを読む
  • 官僚たちの夏
    おもしろかった。
    官僚に対する漠然としたイメージが、少し変わった。

    ただ、ここまで仕事に打ち込み、24時間働く男たちの姿は、心打つものはあるが、女性の視点で見ると、無理だなと思ってしまう。
    ひと世代前の働き方、人生観かもしれないな。

    どちらかというと、作中の登場人物である片山の考え方に共感した。
  • 雄気堂々(上)
    来年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公、そして新1万円札に決定した渋沢栄一の前半生を描いた「雄気堂々」上巻。近代日本最大の経済人であり、そのダイナミックな人間の形成を激動の中に描く雄大な伝記文学!
  • 官僚たちの夏
    本作の舞台になった1960年代から60年が経っていますが、本作が持つメッセージ性は少しも色褪せることなく、それどころか現代人に向けたものであるかのような錯覚さえ覚えます。

    天下国家のために働くエリート官僚たちの姿をリアルに、生々しく描き、官僚国家が孕む問題点を鋭く描きます。
    登場人物のキャラクター...続きを読む
  • 落日燃ゆ
    参考文献の多さが著者の実証主義的な哲学を物語っていますね。
    主観を排除して淡々と進むストーリーの中に、広田弘毅という人間の泰然とした人間性が滲み出ます。
    なぜ日本は戦争に向かったのか、東京裁判とは何だったのか……広田弘毅という一人の人間を描くことで、近現代史の重要命題に鋭く切り込む傑作です。
  • 落日燃ゆ
    広田弘毅の生涯を描いた伝記小説。「自らは計らわぬ」という信念に基づき、唯一文官としてA級戦犯に問われ、一切の弁明を避け処刑を受け入れた。現代、これ程の覚悟と責任感をもって国政にあたっている政治家が果たして居るのだろうか?他国から靖國参拝に対する中傷があろうと断固として拒絶し、せめて御霊を拝する気概を...続きを読む
  • 男子の本懐
    金本位制は、火の利用に並ぶ人類の英知という信念のもと、金本位制、金輸出の自由化にかけた濱口雄幸と井上準之助の生涯を描いた経済小説。道半ばで命を落とし完結出来なかったことは悔しかったろうと推察するが、軍の権力を少しでも削ぎ落とそうとするこの施策は当時の時代背景を考えると無理があったのかもしれない。しか...続きを読む
  • もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界
    小細工を弄するなかれ。無事是貴人。それがしの1日を大切に生きる気概を持って正道を歩み続けた経済人也。
  • 雄気堂々(上)
    国の行く末までも自分ごと化できるすごさ。

    来年の大河ドラマの予習もかねて。
    先に読んだ著者の『落日燃ゆ』が素晴らしかったのも作用して。

    熱量がすごい。国を憂い、自分たちがなんとかするんだ!という思い。本当に熱い。すごい。

    自分自身のこと、他人のこと、所属する組織のこと、働いている会社のこと、住...続きを読む
  • 価格破壊
    流通業界のカリスマ中内功さんをモデルにした小説です。メーカーとのし烈な闘いは読む人をは引き込みます。私も流通業界で働く事を夢みてダ⚪エーの入社試験を受けましたか見事にご縁がありませんでした(笑)
  • 官僚たちの夏
    戦後日本で経済開放と国内産業保護の過渡期を牽引した通産官僚の実話。官僚と政治家の関係や人事等々、現在でも不変のものも多く、パブリック・セクター(特に経済産業行政)で働く人にとっては必読書。
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)
    このタイトルは本屋でずっと気になっていて、少し勇気を出して読んでみた。自分で言うのもなんですが、奥さんとは仲がいい。だからもし先にいなくなったらという事を考えたら本当にどうなるだろうか。こんなにも自分の妻を愛していることを包み隠さず文章にしているところが、男性として尊敬できる。後半は涙無しでは読めま...続きを読む