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彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる――。気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴っていたのは、亡き妻とのふかい絆の記録だった。終戦から間もない若き日の出会い、大学講師をしながら作家を志す夫とそれを見守る妻がともに家庭を築く日々、そして病いによる別れ……。没後に発見された感動、感涙の手記。(解説・児玉清)
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Posted by ブクログ
奥様への愛情の深さがストレートに表現されていた。 夫婦二人三脚で人生を築いていたことを感じさせられた。 愛情と敬意を持って奥様を大切にし、また、奥様との生活にこの上なく幸せを感じる姿に、私もそうありたいと強く思わされた。
著者が妻と出会って亡くなるまでの話。 奥様のことを「天使」「天女」等々と表現されるところから、いかに奥様を愛されていたのかがうかがい知れます。 ちょっと赤裸々な話もあるけれど、作家として忙しい夫をしっかり支え、愚痴もこぼすことなく取材の手伝い、旅行の同行などされ、できた奥さまだなぁと感心する事しかり...続きを読む。 こんなに思い思われて、本当に互いに運命の相手だったのだな、と思いました。
以前読んだストーリー・セラーを少し思い出した。 夫婦の愛、というか、結ばれた心の形というか、読んでいて暖かい気持ちになりつつ、遺された者の視点、特に本人ではなく娘という第三者視点から描かれた筆者の姿が生々しかった。静かに行く者は健やかに行く。健やかに行く者は遠くに行く。この言葉は、惑わされずに己が道...続きを読むを行けということなのだろうか。
夫婦愛にほっこりしたあと、娘さんのあとがきが涙で霞んで読みづらい。 「五十億の中で ただ一人「おい」と呼べるおまえ 律儀に寝息を続けてくれなくては困る」 結婚当初から、一緒に長生きしよう、と言ってくれ るパートナーとできる限り長く一緒に幸せに暮らしたいなぁ、と改めて強く思った次第。一緒に長生きと言...続きを読むいつつ、必ず、自分より長生きしてくれ、と付け加えるパートナーの温かな言葉はいつもわたしを少し切なくさせるのだ。
このタイトルは本屋でずっと気になっていて、少し勇気を出して読んでみた。自分で言うのもなんですが、奥さんとは仲がいい。だからもし先にいなくなったらという事を考えたら本当にどうなるだろうか。こんなにも自分の妻を愛していることを包み隠さず文章にしているところが、男性として尊敬できる。後半は涙無しでは読めま...続きを読むせんでした。奥さんとごくたまに喧嘩した時は、この作品を思い出すことにします。
大切な人と結婚するということは、大切な人を失う覚悟もいるということ。 大切な人を亡くしたらこんな想いになるのかな、と考えさせられたと同時にほっこりと心温まるような作品。
もっと泣ける本かと思ってましたが、良い意味でほっこりしたあたたかい夫婦のエッセイでした。城山さんが容子さんを見つめる視点がやさしくとろけるようで、最期の別離よりも何気ない日常のシーンで胸を突かれました。
この遺稿のタイトルをつけたのは誰だろう?文中の言葉を抜粋したこのタイトルが、本のすべてを要約している。こんなに悲しくて素敵で完璧なタイトル‥‥なかなか出会えないと思う。
タイトルから、筆者の深い喪失感が伝わる。 何十年も前の出会いや、その後の新婚生活を瑞々しく書くこと自体、いかに筆者がその頃幸福感に満ち溢れていたかの表れ。病気が発覚するまでの40年余り、喧嘩をすることもなく居心地よく暮らした日々は、筆者にとってどれほど幸せに満ち溢れていたものだったか。 だからこ...続きを読むそ、筆者が書く妻が亡くなった後の深い深い喪失感、次女の回想が重く胸にのしかかる。 大切な人を失う哀しみとは、これほどまでに深いものか。 哀しいけれど、夫婦の間に流れる穏やかな空気と幸福感に、心があたたかくなった。
まずタイトルからして、グッと惹き付ける。 妻の亡き後がメインのお話かと思ったが、出会いからが丁寧に描かれていて、それがかえって後半になるにつれて、先がわかってしまうので切なくなる。でも、お互いの愛情表現方法は違えど、相手を思いやる気持ちが痛いほど伝わってきた。思えば思うほど、一人になったときの気持ち...続きを読むってどんなものだろうと想像してしまう。 娘さん筆のあとがきが、客観的に描かれているからこそ、一番胸にきました。
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