城山三郎のレビュー一覧

  • 役員室午後三時
    例えが適切ではないかもしれないが、スターリンを彷彿とさせる恐怖政治により地位を築いた藤堂と、運命共同体論をかざし現代的で合理的な経営者である矢吹。時代の流れによって理想的な経営者像も変化すると思うが、何かそれを感じさせるようなストーリーラインであった。最終的な敗者である藤堂自身も非常に個性的で魅力的...続きを読む
  • 総会屋錦城
    1958年の直木賞を受賞した表題作を含む作品集。経済小説の先駆者とされる白山三郎。かなり前の作品だが、リアリティは失われていない。
  • この命、何をあくせく
    1.著者;城山氏(故人)は、経済小説の先駆者。帝国海軍に志願するも、特攻隊の訓練中に終戦。その後、大学で教鞭をとる。城山三郎のペンネームで応募した「輸出」で文学界新人賞受賞、「総会屋錦城」で直木賞を受賞し、執筆に専念。他にも、吉川英治文学賞や菊池寛賞など受賞。経済小説を軸に、歴史や伝記小説などの著作...続きを読む
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―
    10年先が見えたのではなく、こういう10年さきの世を作りたいという強い意志が描かれた一冊。
    なにがどこまで、事実なのかは気になりつつ。
    こういう人間関係、ざっくりこんな考え方、こういう世の中、事実ベースの業績はコレと描写とファクトをより分けつつ読むとより楽しい。
    個人的には豪農のボンボンかつ農夫と自...続きを読む
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯
    この本は、石田礼助が国鉄総裁に就任した後、国会での初登院で述べた「粗にして野だが卑ではない」という言葉がタイトルになっています。

    石田礼助は明治人の一徹さと、30年にわたる海外生活で培われた合理主義を持つ人物でした。

    彼は35年間三井物産に勤め、その間に素晴らしい業績を上げました。そして78歳で...続きを読む
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)
    タイトルから、筆者の深い喪失感が伝わる。

    何十年も前の出会いや、その後の新婚生活を瑞々しく書くこと自体、いかに筆者がその頃幸福感に満ち溢れていたかの表れ。病気が発覚するまでの40年余り、喧嘩をすることもなく居心地よく暮らした日々は、筆者にとってどれほど幸せに満ち溢れていたものだったか。

    だからこ...続きを読む
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯
    代議士たちに「諸君」と呼びかけ、「生来、祖にして野だが卑ではないつもり」と自己紹介し、没後は、「生き方に自信があった」、「天衣無縫にいちばん近かった人」と評された石田禮助の生涯。明治生まれで三井物産代表取締役や国鉄総裁を務めた男の生き様は、文春文庫の「いい男の35冊」に選出されている、間違いなく“い...続きを読む
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)
    まずタイトルからして、グッと惹き付ける。
    妻の亡き後がメインのお話かと思ったが、出会いからが丁寧に描かれていて、それがかえって後半になるにつれて、先がわかってしまうので切なくなる。でも、お互いの愛情表現方法は違えど、相手を思いやる気持ちが痛いほど伝わってきた。思えば思うほど、一人になったときの気持ち...続きを読む
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―
    終戦記念日が近いこともあり、手に取った一冊。

    神風特攻隊の第一号に選ばれ、レイテ沖に散った関行男大尉。最後の特攻隊員として敗戦を知らされないまま玉音放送後に沖縄へ飛び立った中津留達雄大尉。二人の人生を対比させながら、戦争と人間を描いたドキュメンタリー。

    昔、鹿児島へ旅行した時、まさに特攻の地であ...続きを読む
  • 落日燃ゆ
    清廉潔白に描き過ぎの感は否めないが、文官からみた太平洋戦争に突入する道程を描いていたことは勉強になり、また東京裁判の過程については知らないことも多かった。読んで損はなし。
  • もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界
    石坂泰三の伝記。石坂泰三は、戦前・戦後にかけて活躍した経済人である。その主な経歴を記すと以下の通りだ。
    1886年 誕生。1886年は明治19年
    1911年 東京帝国大学卒業→逓信省入省
    1915年 逓信省を退官し第一生命に入社
    1938年 第一生命社長就任(52歳)
    1947年 第一生命社長辞任(...続きを読む
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)
    感想
    ともに歩む。しかし死別は運命付けられている。別れが来ても人生は終わらない。思い出に浸りながら。いつかどこかで浄化する。インクに託して。
  • 官僚たちの夏
    ドラマがめちゃ好きだったから読んだけど、多分話変えられてるよね??ドラマの堺雅人が外人と交渉するシーンが読みたかったのになかった。
  • 大義の末 新装版
    今こそ読むべき。城山三郎は志願して海軍に入ったが、結局戦争を煽る世間の雰囲気に踊らされたのだ、ということ。その理不尽さ、暴力、そして戦後の人々の変節ぶり。ぼんやりしてると追体験させられることになるよ!
  • 男子の本懐
    読書する意味を振り返るというか、立ち止まれる機会になりました。やみくもに読書が好きで何でも今まで読んでましたがポリシーみたいなものも大事ですよね。
  • 落日燃ゆ
    歴史小説はシバシカンで成り立っているので他の歴史小説読んでもイマイチピンと来なかったのですが、この本は違いました。行動と他己評価で主人公を形作る筆致に感銘を受けました。城山三郎先生の本をもう少し読んでみようと思います。
  • 打たれ強く生きる
    思ったより爽やかな印象。
    確かに「昭和の男たち」という印象はあるが、経営者の成功条件は、今でも打たれ強いで変わっていないかもしれない。
  • 官僚たちの夏
    通産省の官僚が高度経済成長期の日本でどのように政策を立案して日本のために働いていたかが伝わってきた。週休1日の時代に朝から晩まで国のために働いているのは、大変そうな仕事だなと改めて感じたけど、国を動かすやりがいも強いのかなと思った。勉強熱心なところや、国会議員や企業の社長など様々な関係者ともぶつかり...続きを読む
  • 官僚たちの夏
    古代のバンカラ通産省の空気感
    いまも他省庁より尖った印象(若手の提言とか)

    ●パリでの外交官生活になじめない牧さん p92

    牧は、また、日本のことを思った。通産省では、仕事さえしているなら、タテになっていようと、横になっていようと、問題にされない。服装にしても、風越のように、夏には半裸も同然の男...続きを読む
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯
    「城山三郎」が78歳で国鉄総裁になった「石田礼助」の人生を描いた作品『粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯』を読みました。

    「百田尚樹」が出光興産創業者の「出光佐三」をモデルに描いた作品『海賊とよばれた男』に続き、明治生まれの傑物を描いた作品です、、、

    「城山三郎」作品は昨年の8月に読んだ『...続きを読む