城山三郎のレビュー一覧

  • 男子の本懐
    R3.8.13~9.25

    (あらすじ)
    緊縮財政と行政整理による<金解禁>。これは近代日本の歴史のなかでもっとも鮮明な経済政策といわれている。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、多くの困難を克服して昭和五年一月に断行された金解禁を遂行した浜口雄幸と井上準之助。性格も境遇も正反対の二人の男が...続きを読む
  • 雄気堂々(上)
    農民の出である渋沢栄一の士農工商から尊王攘夷そして実業家に変遷していく大きな変化の時代にどう行動していくのかが分かる物語であった。第一銀行、論語、千代、市郎右衛門、伊藤博文、一橋慶喜、横浜焼き討ち、新選組、蛤御門の変、近藤勇、土方歳三、大隈重信、フランス行き、等歴史がよく分かった。
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―
    大戦末期のなりふり構わない特攻作戦の惨さを改めて教えてくれる城山氏晩年の作品。「回天」や「桜花」はまだしも、海に潜った人の手による「伏龍」や水上機特攻に至っては何をか言わんやである。自身の入隊体験をまじえながら描かれる指揮官2人の過酷な運命。彼ら所縁の地を目で確かめたり、遺族を探り出して取材敢行した...続きを読む
  • 硫黄島に死す
    ・東京2020大会で、「日本が馬術競技で89年ぶりのメダル獲得ならず」との報道を観て、では89年前にメダルを獲った人物のことが知りたくて読んだ。
    ・バロン西。男爵、西竹一。陸軍軍人としては異色の人物。白洲次郎と印象がかぶる面もあるが、自身の生死に関しては白洲と真逆の生き方だったように思う。
  • 雄気堂々(下)
    渋沢がいよいよ政府へ役人として勤めるところから始まる。政府内での対立もあり、結局民間へとうつるが活躍ぶりは変わらない。一方でその一因となった江藤は佐賀の乱をおこし処刑され、政府を去った西郷も西南の役で自害する。いかに優秀であっても判断の誤りや行動の一つ一つによって運命が決まっていくさまをみた気がした...続きを読む
  • 雄気堂々(上)
    4.0
    渋沢栄一の生涯と幕末の動乱を描いている。
    久しぶりの時代小説であったが、比較的読みやすい。
    子供の頃に薄い歴史漫画で渋沢栄一について読んだ事があったが、一橋慶喜に仕えていたとは知らなかった。
    時代に翻弄され流されつつもその先で自身のやることを見つけ、作り挑んでいく様や固い意思をもちつつ柔軟に...続きを読む
  • 雄気堂々(上)
    2024年!新一万円札の顔になる渋沢栄一!
    500以上の会社設立に関わった、近代日本経済に多大な影響を与えた人です。
    劇的な人生で、只々「めちゃくちゃすごい人だな」と思いました。

    大きく変化している現代は、渋沢栄一が生きた時代と似ており、参考になることがあると思います❕

    ぜひぜひ読んでみてくださ...続きを読む
  • 秀吉と武吉 目を上げれば海
    村上水軍をひきいた村上武吉。見事なまでの頑固者であり、無骨に、まさに自分の信念を貫いたと言える。豊臣秀吉からは嫌われ、晩年は辛い生活を強いられたが、強きに従うでもなく、自らの信念に基づき、見事に生き抜いた。
  • 雄気堂々(下)
    血洗島の一農夫が藩閥が闊歩していた幕末維新の時代に近代日本を築く指導者になり得たのか、万博に伴うフランス派遣でいち早く進んだ西欧文明に触れられたという時の運もありますが、論語と算盤に表れている渋沢の精神性が人を引き付け、事業の多様性や社会性を産み、また、合本主義がより合理的な経営スタイルとして日本の...続きを読む
  • 毎日が日曜日
    ●海外駐在を経験した二人(沖と笹上)、閑職で時間をもて余す沖、仕事一途の人間で趣味のない笹上。二人が左遷と定年という形で戦線離脱する。ビジネスマンにとって、組織とは、家族とは、何かを考えさせる。
    ●文中にある会話、「ぼくは、商社マンとは、ワンルーム向きの人間だと考えているんです。家には夜遅く帰ってき...続きを読む
  • 官僚たちの夏
    この作品は、通産省の人事を巡る人間関係を描いています。主人公の風越は官僚的であり、ある面では、非官僚的です。誰に対しても歯に衣着せぬ物言いは魅力的だ。「男なら」を好み、人に頭を下げるのが嫌いだ。保身を考える組織人には羨望だろうと思う。
  • 役員室午後三時
    ビジネスマンなら必ず直面するテーマ「会社は誰のモノなのか?」
    1960年代の鐘紡(カネボウ)が題材とのこと。藤堂と矢吹という2タイプの経営者を描いているが、どちらが主役、善玉ということではなく、その対照から考えてみたい。
    作中では、矢吹の運命共同体論が藤堂を退けることになったが、カネボウがその後、粉...続きを読む
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯
    国鉄総裁を勤めた石田礼助の生涯を描いた小説。78才の石田は、公共サービスと安全対策に心を砕いた。終章に書かれている、暮らしぶりや簡素な葬儀の話に心を打たれる。
  • 落日燃ゆ
    ●企業人になった頃に、城山三郎さんの本をたくさん読みました。城山さんは某小説賞の席で、金で左右されるような賞の審査員は辞退すると、席を立ったそうです。そうした言行一致の姿勢が好きです。
    ●この本は広田弘毅の人生について書かれました。ただ一人の文官として、処刑された広田の思いに感動しました。
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯
    「昭和の日』に、昭和の傑物の伝記を読み終えた。
    日米開戦前の三井物産社長、国鉄第五代総裁、石田禮助の生涯。
    戦前、物産ニューヨーク支店長時代、大西洋(太平洋ではなく)横断の海底通信ケーブルの最大ユーザーが三井物産だった、というのは、何だか誇らしい。一方、そこまで世界経済と密着してたのに開戦に流れてい...続きを読む
  • 雄気堂々(上)
    渋沢栄一をはじめ、八百万の神達の圧倒的な熱量が、幕末期・明治維新から日本を列強国に並ぶ迄の礎を築いたことが描かれている。
  • 雄気堂々(上)
    NHKの大河「青天を衝け」を見て、渋沢栄一の人生を知ろうと本書を手に取りました。尊皇攘夷の考えから横浜の焼き討ちを計画したり、ひょんなことから一橋慶喜の家臣となり、慶喜の弟のお供でフランスの博覧会視察とそれに続く留学、帰国後、既に大政奉還した慶喜を追って静岡、その後、時の政府大隈重信に呼ばれ、租税正...続きを読む
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)
    城山さんの小説は読んだことがないのですが、きっと骨太の作品を描かれる方だろうな、という想像。
    私生活では、愛妻家だったんだなあということが伝わりました。特に、娘さんが書かれた文章から。
    舞い降りた妖精、苦しい別離、運命の再会。素敵。

    「そうか、もう君はいないのか」
    なんて切ないタイトルでしょうか。...続きを読む
  • 雄気堂々(下)
    上巻の終わりで、大隈重信の云う「八百万の神々の集い」に入ることを請われ、その中に入って新政府の高官として活躍する所から始まる下巻。明治新政府の血生臭い政治の世界に嫌気がさし、経済界で生きる中でかねてよりの夢である「合本組織(株式会社)という組織作りに突き進む姿が描かれる。
    それにしても、幕末維新の所...続きを読む
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯
    「この爺さん、いったい何者なのか。」で締められる第一章が秀逸。
    その後は、石田禮助という人物の人生のダイジェストという感じです。波乱万丈の人生ですが、一つ一つのエピソードを深く掘り下げて書くことはしていないので、やや淡白な印象がなくはないです。

    しかし、石田禮助の魅力は存分に知れますし、ビジネフマ...続きを読む