抱影 講談社作品一覧

  • 抱影
    4.0
    生と死のはざまでほとばしる情念。これが北方謙三だ。 定期的に食事はするが、踏み込まない。響子とは二十二年、そうしてきた。死期が近いと告げられるまでは。硲(はざま)冬樹は画家。売れない絵描きではない。横浜に数軒の酒場を持つ。硲の絵を望んだ響子。消えゆく裸身をキャンバスにして、硲は鑿(のみ)を手にした硲は消えない絵を刻みつけようとする。男と女、北方ハードボイルドの到達点!
  • 霧笛/花火の街
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    文明開化の横浜を情緒豊かに描く! ――ガス灯揺れる、横浜の異人館。ボーイの千代吉は、居留地に巣喰うならず者たちと、酒、賭博、喧嘩に明け暮れていた。そして偶然、ひとりの謎めいた少女に出会う。可憐な外見とはうらはらななまめいた女に、千代吉は惹かれていく。無頼な若者の青春の燦きと悲哀を鮮やかにとらえた名作『霧笛』に、居留地ならではの哀切な恋物語『花火の街』を併録。開化期の横浜を情趣豊かに描き上げた、大佛文学の真髄! ◎大佛次郎(おさらぎ・じろう)明治30(1897)年、横浜生まれ。本名・野尻清彦。星の研究家・野尻抱影は兄。東大卒後、教員、外務省勤務を経て作家に。大正13年より<鞍馬天狗>連作を発表、人気を集めた。鎌倉大仏の裏に住んでいたのが筆名の由来。以来、時代小説、現代小説、史伝、ドキュメントと幅広く活躍、西欧的知性に裏づけられた多くの話題作で各分野に大きな業績を残した。著書に『赤穂浪士』『霧笛』『帰郷』『パリ燃ゆ』『天皇の世紀』など多数。文化勲章受章者。昭和48(1973)年没。

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