オメガである立花詩音は、体調を崩し突然の発情に襲われて意識を失ってしまう。目を覚ますと、ベッドにはミルクティー色の髪をした見知らぬ青年が……！ 「どちらさまですか!?」 混乱しながら尋ねると、青年は「ミクだよ？」と不思議そうに首を傾げる。 ミクは一年前から飼っている猫の名で、詩音が二年番ったアルファに関係を解消された日に拾い、元番の愛称を付けたものだった。 詩音はミクがヒトになった経緯を聞いたり、猫の姿と人間の姿を自在に行き来する様子を見たりしても、飼い猫が人間になったという現実をなかなか受け入れきれない。 けれど「詩音のためにヒトになったんだ。詩音を助けたいから」と、人間の姿になって懸命に自分の世話をやこうとするミクに心が温かくなり――。 ミルクティー色の出会いが最愛に変わる、メタモルフォーゼ・オメガバース！

「お前は、竜の治療ができるか」 その言葉に、どんな動物でも“来る者拒まず”で治療をしてきた獣医師・深浦誠治が「治します！」と断言した瞬間、異世界に転移し、見知らぬ男の身体に乗り移っていた。 そばには自分を「ご主人様」と呼ぶ、野性味を帯びた精悍な男・ラシャがいた。 ラシャによれば、本来の主人は何者かに殺され、蘇生術で魂を呼び戻したが、なぜか誠治がその身体に入ってしまったという。しかも、この世界には『二次性』が存在し、αであった身体が誠治の魂の影響でΩへと変わってしまったらしい。 転移前の記憶も曖昧で混乱する誠治だが、元の世界に戻してもらう代わりに、ラシャの主人のフリをして犯人をおびき出す協力をすることに。 異世界での生活の中、魔法によって獣人を生み出し奴隷にする習わしや、ラシャの境遇を知るにつれ、力になりたいと思うようになり――。 異世界に迷い込んだ獣医と、忠義に生きる竜の獣闘士。 ふたつの孤独な魂が運命と出会う、異世界転移オメガバース。