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-煎茶道黄檗売茶流の家元・通仙庵孝典が綴る、五十八篇の散文集。 「家常の茶飯」とは、ありふれた日々に摂る、ありふれた食事のこと。本書は、著者がお稽古場で社中の皆さんに語りかけてきた言葉と、そこから生まれた個人的な気付きを、丁寧に文字へと写し取った思索の記録です。点てるお茶ではなく、淹れるお茶の道——煎茶道。一煎の茶にあらゆる学びを求める、現代では非常に稀となったその密やかな小径を、半生にわたり歩み続けてきた著者の眼差しが、ページの隅々まで行き渡っています。 著者が一貫して見つめるのは、「美意識」というものさし。あらゆる判断を善悪ではなく、美しいか否かに求める術——その立ち位置によって都度変化する頼りない基準ではなく、自らの内側にある絶対的な軸を持つこと。それは煎茶道のお手前、すなわち心身を一つに結びお茶を淹れる妙技を通じてのみ体得される、生き方そのものへの問いかけでもあります。 「特別な人々」「心と体の距離」「美人の条件」「道具の価値」「呼吸の深浅」「忘却讃歌」「揺るぎなき土台」「不変の敬意」「光と影」「孤独な生きもの」「日常の彩り」——全五章にわたって展開される各篇は、煎茶道という小径から見える人間関係、感情、成長、感謝、そして品格について、静謐かつ深い洞察を読者に届けます。章間に配された「煎茶道具」の紹介、そして黄檗売茶流に伝わる「平成手前七手前全八景『移風易俗』」の解説も、見逃せない読みどころです。 感情に呑まれず、呑み込む力。成長と完成を諦めない心。煎茶道という人生航路の羅針盤から授かった知恵の数々が、ページをめくるたび、読み手の胸にゆるやかに沁み入ります。 煎茶道に親しむ方はもちろん、丁寧な暮らしや日本文化の奥行きに心惹かれるすべての方へ。一煎のお茶のように、心を静め、整えてくれる一冊です。 ※本書は、月刊情報誌『元気な暮らし』(株式会社Total health design発行)に二〇二一年八月号から二〇二五年七月号まで足かけ四年にわたり連載された「家常の茶飯に思うこと」を、加筆・修正のうえ再編集して一冊にまとめたものです。
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-今、日本には「誰も住んでいない家」が900万戸ある——。住宅全体の7軒に1軒。先進国の中でも突出した数字です。 「空き家問題は地方の話」「自分には関係ない」——そう思っていませんか?本書は、その思い込みを根本から覆します。 地方では人口が減り、商店が消え、学校が廃校になる。一方の都心では、投資マネーが流れ込み、家賃は急騰。 2024年度、東京都の家賃引き上げに関する相談件数は前年度比で倍増しました。「住む場所が買えない、借りられない」——これはもはや、誰もが直面する未来です。地方の空き家と都心の住宅高騰は、表裏一体の現象なのです。 なぜ日本は、こうなってしまったのか。なぜ、空き家問題は解決できないのか。答えは、戦後から続く「新築至上主義」、自治体のリソース不足、儲からないビジネス構造、そして地元利害が絡む「政治」にあります。本書は「空き家問題の教科書」として、全7章にわたり、その壁の正体を現場の言葉で解き明かしていきます。 現状の数字、原因と法律、放置された未来予測、再建築不可・共有持分など訳あり物件の実態、活用の新しい可能性、官民連携モデル、そして実際の再生事例までを網羅。「親が施設に入ったら、実家はどうする?」という個人の悩みから、「2040年、地元は残っているか」という国家的課題までを、一冊でつかめます。 空き家問題は、日本最大の社会課題であると同時に、地方再生・新規ビジネス・次世代への遺産という、大きなチャンスでもある。 知れば、動ける。動けば、変えられる。 あなたの「住む場所」と「日本の未来」を考えるために、今こそ読みたい一冊です。