アイオライト文庫作品一覧
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-見えざる怪異の真……しかと視たり。 昭和24年。復員後、明久津累は貸本屋『あたら夜堂』を営んでいた。 そんな彼を激戦地での悪夢が苛む。ジャングルでの恐ろしい記憶と共に右の目が痛み、彼を苦しめていた。 戦友であり、カストリ雑誌の記者をしている辻ヶ瀬透に誘われ、彼は有閑マダムが主催する『妖異倶楽部』に参加する。 そこで、たたら坂で幽霊が目撃談されていると聞く。 深夜、噂のたたら坂の井戸に向かう二人。 奇妙な気配と共に、彼らは井戸に落下してしまう。 目を覚ました二人の前に広がっていのは、ジャングルの光景だった。 怪奇と幻想の迷宮の中で、彼らは思いもよらぬ光景を目の当たりする。 そして明久津と辻ヶ瀬はそれぞれ、ある秘密を抱えていた。 明久津は、見えざる怪異の真にたどり着けるか……?
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-古くから地域に残る人を供物にする呪詛を利用し富や地位を得る人々がいる――そんな地域で暮らし始めた高校生の杏奈。ある日、おまじない遊びの感覚で供物を納めて邪魔者を呪う、クラスメイトの犠牲になりそうになる。杏奈が仲良くなった美少女はそれをつかさどる家系の娘で、自分の家を忌まわしく感じて悪しき風習を止めようとしていた。しかし風習はついに杏奈と周囲の人たちを本格的に巻き込んでいく。……杏奈への呪いは誰の仕業か?
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-ザッ ザッ なにか、音が聞こえる。これは──。 寝よう。そうすれば、きっと熱が下がって、朝がくる。──そう思って、頭を枕につけた。そのとき、意外なものが視界に入ってきた。 マネキンの足だ。 目の前に現れたものに私は身動きができず、声も出なかった。