国内小説 - 講談社 - 創文社オンデマンド叢書作品一覧

  • わが庭の寓話・動物譚と植物誌
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 詩人、随筆家、翻訳家、また、クラシック音楽への造詣も深い著者は、山や自然を描いた詩や散文の秀品を多く残した。 「この仕事について ジョルジュ・デュアメルの『わが庭の寓話』との語らいを漸ようやく終わり、私はやれやれという気持で今一息ついている。彼と手を連ねてゆっくりとその邸内や庭や近隣の田舎を歩きながら、どんなに彼の話を聴き、どんなに色々の物を見、どんなにたくさんの事柄を学んだことだろう。思えば友であると同時に先輩であり、又一人の賢者でもあるデュアメルという人間を、その日常生活の中で観察するという幸福を私は持ったのだった。そして又この友はさまざまな機会に暗示を与え、それとなく教えを垂れて私を賢くした。もしも彼がいなかったならば、もしも彼から注意されなかったならば、どれだけ多くの貴重な事を私が見過ごし、聴き流してしまったことだろう。  「僕も寓話を書けたらばと思います。僕の庭の寓話を。しかし残念な事に僕は庭を持っていないのです」と言って嘆く或る青年の言葉が一晩じゅう彼を考えこませる。そして彼はこう言う。「まだ庭という物を持たなかった頃、私はリュクサンブールの林の中で寓話の咲くのを眺めたものだ。熱心な愛好者にとって、寓話を育てるためにならほんの小さな庭が一つあれば充分だ」そして控え目に言う、「私ならば窓のへりに置いた一鉢からでも、それを生長させるだろうと思うのだが」と。  こう言われてみて、さて今自分の窓からの狭い谷間の風景を眺めただけでも、デュアメルのような心と眼とをもってすれば、寓話の花は此処にも彼処あそこにも咲いている。時しも秋の終わり冬の初めで谷を囲む山麓の林は黄に赤に、鳶色に紫に皆美しく彩られ、その上に拭き清められたような青空がひろがり、穏かな日光が燦然と照り渡っている。そしてたまたまその大空の西の方にたった一つ浮かんでいる白い小さい片積雲が、語られた物語の終わりの一句か、語られる話の書き出しのように見える。しかし「窓のへりの一鉢」どころか窓の向うの豊麗な風景からでさえ、もしもわれわれに表現の力と豊かな人生智とが無ければ、たった一つの寓話でも此処から生み出すことはできないだろう。」(本書より) ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 漱石の世界
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 西田幾多郎とカール・バルに学んだ神学者・哲学者の著者が、文豪夏目漱石の世界に迫る。「則天去私」に至った明治の作家の心の内奥に迫る。 【目次より】 新版の序 序 第一章 倫敦の経験(「自己本意」の決意) 一 漱石の「自己」というもの 二 『私の個人主義』と謂わゆるエゴイズム ~ 九 彼の不安は何故消えたか 十 彼が倫敦で「新しく掴んだ」「自己本位」の真義 それと「東洋趣味」及び「生涯の事業」との関係 十一 「自己本位」の信念は何故『文学論』の著述を断念した後にもその力を保ち得たか 十二 『私の個人主義』に於ける漱石の体験分析の曖昧とその原因 第二章『文学論』と神経衰弱 一 帰る日まで 二 帰ってから 三 『文学論』の骨組 ~ 七 日露戦争 友人と門下生 表現の意欲 八 漱石は何故彼の『文学論』を「学理的閑文字」と呼んだか 漱石の神経衰弱及び創作の意欲そのものと、それについての漱石自身乃至諸家の批評との間の隔たり 第三章 作品の発展 その一 第一節 『野分』まで 第二節 『虞美人草』 第三節 『坑夫』 第四章 作品の発展 その二 第一節 『三四郎』 第二節 『それから』 第三節 『門』 第五章 作品の発展 その三 第一節 『思ひ出す事など』 修善寺の大患とその意義について  第二節 『彼岸過迄』 第三節 『行人』 第四節 『こゝろ』 第六章 「則天去私」とその後の作品 第一節 『硝子戸の中』と「則天去私」 第二節 『道草』 第三節 『明暗』 結論 あとがき 新版の跋 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • たんたん滝水 村の自然と生活
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 民俗学者による、生活と自然との素朴な触れ合いから生れた言葉をすくいあげ、心暖まる山村の日々を独自な聞き書き文で描いた随筆 【目次より】 ■春の日に張れるやなぎを採り持ちて かんざくら 春木山 労働の一 かわらぼんぽん 彼岸味噌 食物の一 こぶし だいしゃく いずみどの たんたん滝水 遊びと唄の一 やわら つぶ と びんろうじ みねば 女の行 産育の一 駒の雪 諺の一 ■路の辺の草深ゆりの花咲みに いちき 草刈り 労働の一 もちのき つぶつぶ 食物の二 しろかのこ やまぶし はんがん ひとりふたりさめのこ 遊びと唄の二 ふじっぱ めめひず ゆめなど 産育の二 ぴな かないっちょ きくらこくら まりこの夕立 諺の二 ■あしひきの山の木ぬれの保与とりて さかさばら かち荷など 労働の三 めっぱす こふんぐりなど 食物の三 ひがんぎく ねんじばち てんじんさんのつばき 氷の垂木 色々な唄の一 ありばば ねばな あらおみたま 葬礼習俗 きり からすのつぎき 乾の夕焼 諺の三 ■すめ神の神の宮人ところづら あわ たつぼなど 労慟の四 やまどり どや餅など 食物の四 きじんとり ところ かわおそ ひゃくわっと 色々な唄の二 ほどんづる とっぴ こんにゃくバサ ほんとにあった話 かんがら もろんど 笹棲に落つる涙 諺の四 あとがき 地名一覧 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 宇都宮 貞子 1908~1992年。民俗学者、草花研究家、随筆家。旧制県立長野高等女学校卒。東京女子大学中退。 著書に、『草木覚書』『草木ノート』『山村の四季』『草木おぼえ書』『八重葎帖』『螢草抄』『草木の話 秋・冬』『草木の話 春・夏』『たんたん滝水 村の自然と生活』『雪の夜咄』『山にあそび野にあそぶ』『野山の十二カ月 (野外への扉)』『草木抄 四季』(熊田達夫写真)『植物と民俗』『冬の草木』『夏の草木』『秋の草木』『春の草木』『科の木帖』『私の草木誌』などがある。
  • 地底での散歩
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 共産主義者を経てクリスチャンになった小説家は、日常を描く実存主義的な作品で一世を風靡した。深い経験と洞察が生み出す思索を読む 【目次より】 まえ書きにかえて 自己に眼覚めるころ キリスト教の中で キリスト教のユーモア 道化師の孤独 笑いについて 宗教と信者 復活はあるか 私は何故クリスチァンでないか 政党と私 「十分である」ということ 現代の魔術 「交り」ということ 恋愛について 組織と共同体 丸出し論議 出会いについて 推理小説と聖書 非神話化の問題をめぐって 罪の観念と罰 非正統派の弁 私の反省 上原集団脱出記 赤岩栄「キリスト教脱出記」の書評として 文学のなかで キリスト教と文学 信仰において 信仰と小説 マス・メディアの問題 距離 救いと文学 現代とニヒリズム 観客席で 映画における人間 芸能時事 あとがき 椎名 麟三 1911~1973年。小説家。本名は、大坪 昇(おおつぼ のぼる)。第一次戦後派の代表作家。 著書に、『深夜の酒宴』『重き流れのなかに』『深尾正治の手記』『永遠なる序章』『その日まで』『病院裏の人々』『赤い孤独者』『嫉妬』『邂逅』『愛と死の谷間』『自由の彼方で』『神の道化師』『美しい女』『愛の証言』『母の像』『その日まで』『運河』『人生の背後に』『新作の証言』『雨は降り続いている』『明日なき日』『断崖の上で』『罠と毒『長い谷間』『媒妁人』『カラチの女』『懲役人の告発』『変装』などがある。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 螢草抄
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 そこには万葉の昔から、今も変わらぬ人と自然のふれ合いがある。本書は『山村の四季』『八重葎帖』についで著者の書き下ろした信濃・越後・奈良の山村の草木随筆集。山国の四季おりおりの植物と人のこころのふれ合いが、土地の美しい日本語で描き出される。 【目次より】 ■雪消沢恵具つむ乙女 そろい たけびらき やまなし さずいゆり たものき ほうらくいちご にわとこ かやね どうっつね ちちんの話 ■高円の野辺の貌花 ちゃんからちゃがま でえっばら とりあし とうへんじ みょうみょう つぼっつら にれ どんぼうのくみかみ かあげ つばきなぎ かんがらかつぎ ようご ちょっきらの話 ■葛の葉のあゆける我を さんまたびい ゆさご すいじんさんのて まめふじ もうぎ くまいっつる ひなっつび うずまきぶどう さなづる よつずみ さるで 山鳥の話 ■笹が葉のさやぐ霜夜に からすのかんなべ しょうとどころ あかんぼ 霜の笹 さるぼこ あかがら がにまめ どうの話 あとがき 地名一覧 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 宇都宮 貞子 1908~1992年。民俗学者、草花研究家、随筆家。旧制県立長野高等女学校卒。東京女子大学中退。 著書に、『草木覚書』『草木ノート』『山村の四季』『草木おぼえ書』『八重葎帖』『螢草抄』『草木の話 秋・冬』『草木の話 春・夏』『たんたん滝水 村の自然と生活』『雪の夜咄』『山にあそび野にあそぶ』『野山の十二カ月 (野外への扉)』『草木抄 四季』(熊田達夫写真)『植物と民俗』『冬の草木』『夏の草木』『秋の草木』『春の草木』『科の木帖』『私の草木誌』などがある。
  • 見て感じて考える
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 「ビルマの竪琴」の作者が、戦後日本で見て感じて考えた」ことをまとめたエッセイ集。自由主義を愛した著者に、戦後はどう映ったのか? 日常と哲学が交錯する、珠玉の随筆集である。 【目次より】 1 学生事件の見聞と感想 2 門を入らない人々 3 心理戦略 4 原爆のこと 5 在米の安倍先生に 1 砂の上にて 2 磯 3 国籍 4 すこしきたない話 5 俗論 1 精神史について 2 進歩思想について 3 「日本人とは何か」について 4 両次大戦間のドイツの文芸思潮 あとがき 竹山 道雄 1903~1984年。評論家、ドイツ文学者、小説家。日本芸術院会員。東京大学教養学部教授。東京帝国大学文学部独文科卒業。 著書に、『光と愛の戦士』『失はれた青春』『ビルマの竪琴』『北方の心情』『憑かれた人々』『希臘にて』『手帖』『樅の木と薔薇』『失われた青春』『見て感じて考える』『古都遍歴-奈良』『精神のあとをたずねて』『白磁の杯』『昭和の精神史』『ヨーロッパの旅』『續 ヨーロッパの旅』『まぼろしと真実 私のソビエト見聞記』『剣と十字架 ドイツの旅より』『京都の一級品 東山遍歴』『人間について 私の見聞と反省』『時流に反して』『日本人と美』『乱世の中から 竹山道雄評論集』『みじかい命』『竹山道雄著作集(全8巻)』『歴史的意識について』『主役としての近代』『尼僧の手紙』『昭和の精神史』『昭和の精神史』『竹山道雄セレクション(全4巻)』(平川祐弘編)『昭和の精神史』『西欧一神教の世界』などがある。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 八重葎帖
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 雑草が大量に生い茂っているさまを八重葎という。四季を通して繁茂するさまざま植物をめぐるエッセイ。自然と人間のよい関係を描く。 【目次より】 ■つつじ花もてかしづかれたまふ じなし ゆきつばき きんつつじ ぽつら やまぶき のうしろつつぎ れっだ こうめぜんめ こなし ちんばり ながたかばら おくたね すげ ささぎっぱ ほうそうなら ぎゃくの話 ■築地に白き山牛努の花 とうごぽう かべよし かいろっぱ めくらしょうぶ せきしょ ねぶろったま かんぴろ よめごろし まむしのは わくんて どようつつじ 盆の花 どくいら やまずいこ あきしらせ へっぴりづる かみなりよけ みょうきんの話 ■ほの紅らめる山うけら花 あぶらっぽう かあとりぐさ みちしば しっぱつ ほつき だんごづる あけぶ おろ めばな たなばたそう みやまつ てのひらもみじ いぽっつりの話 ■真碩の沈む枯葎藪 ふしにんじん すねこすり しろつりがね はっぽん たかやま かりやせ はねすがや ふよばな いなざんしょう はなたかてんぐ どんぽづまき どうほん こもづち あずきあらいの話 あとがき ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 宇都宮 貞子 1908~1992年。民俗学者、草花研究家、随筆家。旧制県立長野高等女学校卒。東京女子大学中退。 著書に、『草木覚書』『草木ノート』『山村の四季』『草木おぼえ書』『八重葎帖』『螢草抄』『草木の話 秋・冬』『草木の話 春・夏』『たんたん滝水 村の自然と生活』『雪の夜咄』『山にあそび野にあそぶ』『野山の十二カ月 (野外への扉)』『草木抄 四季』(熊田達夫写真)『植物と民俗』『冬の草木』『夏の草木』『秋の草木』『春の草木』『科の木帖』『私の草木誌』などがある。

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