花沢みおの検索結果
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梅雨の夜、残業帰りの沈梔意(ちん・しい)は、市立病院からの緊急献血要請を目にする。 AB型Rhマイナス――希少な血液型を持つ彼女は、土砂降りの中、迷わず病院へ駆けつけた。 その直後、両親からかかってきたのは、いつもの結婚の催促。 うんざりしながら受け流していたその会話を、偶然、池硯舟(ち・けんしゅう)に聞かれてしまう。 グループの新社長。 端正で冷静、仕事では容赦がないと噂される男。 彼は壁にもたれ、淡々と言った。 「僕と結婚しよう」 彼女は彼の祖父を救った。 彼は彼女のために、“夫役”を引き受ける。 会社では赤の他人。 両親の前では仲のいい夫婦。 家では、ただの同居人。 期限つきの偽装結婚。 そのはずだった。 けれど、会食で彼女が無理に酒を飲まされそうになったとき、池硯舟は薬指の指輪をゆっくりと回し、冷ややかに相手を見据えた。 「どういうつもりだ。うちの人間に手を出すとは」 そしてある日、会社の会議室で、二人の秘密は思わぬ形で暴かれる。 大型スクリーンに映し出されたのは、沈梔意が親友へ送った、社長への愚痴。 静まり返る会議室。 池硯舟は少しも慌てず、ただひと言。 「夫婦のじゃれ合いです」 契約から始まった関係は、やがて少しずつ、軌道を外れていく。
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十二歳のあの日、地震の瓦礫の中から雲舒を救い出してくれたのは、顧景衍だった。 それ以来、彼女の世界の中心には、いつも彼がいた。八年の片想いを経て、二十歳の春、雲舒は憧れ続けた人の妻となる。 けれど、五年の結婚生活の中で顧景衍が彼女を愛することはなかった。彼は夜ごと遊び歩き、妻である雲舒には他人のように冷たかった。 結婚五周年の日、雲舒は彼の本の中から一枚の写真を見つける。そこには、別の女性を優しく抱き寄せる顧景衍の姿があった。 ――彼には、ずっと心に決めた人がいたのだ。 離婚の日、彼は雲舒を引き止めなかった。彼女は連絡先をすべて消し、ひとり異国へ渡る。 そして二年後。止まっていた郵便配達が再開し、雲舒のもとに百八通の恋文が届く。差出人はすべて、顧景衍だった。 隣にいた恋人が尋ねる。 「これは、君の昔の男?」 雲舒は少しも揺れず、静かに答えた。 「私の中では、もう死んだ人よ」 だがその“死んだ人”は、雪の中で彼女を見つめ、初めて失った愛の痛みを知る。 やがて顧景衍は、前妻を取り戻すためなら手段を選ばない男となっていく。