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-潔癖で清純な心の持主の黎子は、アルバイトをしながら大学で学んでいた。戦災で両親を失い、肉親は姉ひとり。人の負担になるまいと肩を張って生きている彼女の前に、名門の建築設計士の叶が現われる。叶は黎子を愛し、若い直情から、彼女の肉体に愛の烙印を押した。黎子に静かな愛を寄せていた誠実な鳴海は、事情を知ったとき、男らしく耐えて、黎子と叶が結ばれることを願った。が、それは、黎子を蟻地獄のような苦しみと迷いに追いやるのだった。純粋な処女の心理と、愛情の哀しみと美しさを追究した、清爽な抒情あふれる青春ロマン。
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-戦火がいよいよ烈しさを加えて来た昭和19年、画学生・笹田香澄は、母とともに鎌倉に疎開して来た。隣家の青年実業家・瀬木龍彦は、香澄の美しさに惹かれ結婚を申し込んで来るが、香澄の心には同じ研究所の画学生・伊吹慎一の面影が焼きついて離れない。しかし伊吹に赤紙が来て、応召の前夜、香澄は伊吹に抱かれた。……何年か後、香澄は財力にものをいわせた求愛の前にくずれ、瀬木の妻となっていた。しかし戦死を伝えられた伊吹が突然生還し、香澄の情熱は再び燃えあがった。ふとした事で知った革染の美と伊吹への恋が、香澄の前に明るく開けて来る……女の恋と情熱を描く長篇!
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3.0