ノンフィクション - 下重暁子作品一覧

  • 天邪鬼のすすめ
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    「壮大なまわり道の中で研ぎ澄ました私の感性……頼れるものは、それしかない」 不安の時代を生き抜くヒントに富む、 ベストセラー作家の自伝的エッセイ 厳格な軍人家族に生まれた著者は、敗戦によってすべての価値観が根底から覆ってしまう。凛として「恥を知る」ことを説いた父が、戦後は見る影もなく落魄。そのくせ世の中が落ち着くと、徐々に昔の価値観に戻っていく……。そんな父と、暁子は確執を深める。家の中はぎくしゃくし、母とも心が通じなくなっていく。 また、結核を患ったせいで、幼い暁子は長期の入院を強いられた。外で遊ぶこともならず、彼女はおのずと自分自身に向き合うようになる。敗戦と結核、これが原点となった。 家族と離れて自由を謳歌した高校・大学時代。NHK入局後、野際陽子との出会いで悟った「私は私」という境地。そして、ある音楽家の男性との運命的な出会いと大失恋。さらに、パートナーを得た後にも暁子に影を落とす父と母の存在……。 波瀾万丈の来し方を振り返りながら、著者はあるヒントを投げかける。「天邪鬼」であること。そして「おめでたさ」を失わないことの大切さ。挫折と思えたものを逆転してこられたのは、天邪鬼とおめでたさがあったからこそ。 自分で考え、反骨を忘れない。自分で食べる。自分で決める……その大原則さえ守っていれば、人は自由に生きることができる。切れ味鋭く、かつ滋味深い著者の言葉は、不透明な時代を生き抜くための力を与えてくれる。
  • 思へばこの世は仮の宿
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    嫁ぎ先の旧家での舅の強烈なしごき、姑と小姑たちの冷たい目、そして夫の女遊び。明治・大正・昭和の激動の三代をいかなるときも、自らの精神の飛翔を求めて生きた雪国の女の一生とは。まさに《日本の女》を描いた書き下ろしノンフィクション。
  • 純愛 エセルと陸奥廣吉
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    17年間、互いに待ち続けたエリート外交官と英国女性との大ロマン! 日清日露の戦争、関東大震災、大きくうねる歴史を背景にした大絵巻!! 明治の中ごろに外相になった元勲・陸奥宗光(むつむねみつ)は有名だが、その長男の廣吉(ひろきち)のことはあまり知られていない。宗光の外相就任の少し前に、廣吉は英国に留学した。1887年のことである。その翌年、彼は一人の女性に出会う。エセル・パッシングハムという、一つ年上の女性だった。廣吉は20歳である。交際が始まり、二人は互いに憎からず思うようになる。帯英中のある時期から、廣吉は日記を英語でつけた。毎日欠かさず克明に書き続けた。 ●桜の花の咲く頃、一人の女がイギリスから日本に着いた。ケンブリッジに留学した一人の男との約束を守って。知りあってから二十年近い歳月が流れている。電話も飛行機もない時代、二人を結びつけたのは、愛をまっとうする強い意志の力だった。死にいたるまでその意志は続く。一瞬の間に燃え上がる恋も、偶然の出会いに忘れがたい愛もある。しかし、もっとも難しいのは、意志を持続することだ。「ある恋の物語」はいくらでもあるが、自分の生き方を懸けた愛に出会うことは少ない。「純愛」という言葉には、一筋の思いがあり、意志がある。そこには私たちが忘れてしまった夢がある。 ――「はじめに」より
  • 人生にとって挫折とは何か
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    女性トップアナウンサーからフリーのキャスターへ転身、文筆活動ではベストセラーを上梓。常勝街道を突き進んで来たかに見える人生は、しかし挫折の繰り返しであった……。失意、諦め、後悔。挫折に伴う痛みと無縁の者はいない。苦い思いは後を引き、老いてなお人生の後ろ髪を引く……。人生の終盤まで誰もが引きずりがちな挫折を克服し人生の彩りへと昇華する、著者ならではの極上の哲学を披歴する。
  • 鋼の女
    5.0
    母との別れ、孤独の旅、娘の死、光なき世界を凛として生き抜く女の美しさ。そして修行と戒律。雪国に唄う最後の瞽女(ごぜ)・小林ハルの凄絶なまでの生き様を描き、生命本来の力強さと輝きを訴える感動のノンフィクション。 ●私の知ったハルさんは、瞽女という職業を通して、見事な生活者であった。そこには哀愁や感傷の入りこむ余地のない、ぎりぎりの厳しさがあった。いつも崖っぷちに立っているからこそ、潔く、外からは、突きぬけた明るささえ感じてしまう。(中略) 打たれれば打たれるほど、はね返す力を身につけ、逆境をも明るさに転嫁させてしまうエネルギー……。かつての女たちは、みなそれを持っていた。そうしなければ生きられないほど、とりまく環境が厳しかった証拠でもあるが、その中で磨きぬかれた美しさがあった。彼女たちを支えたものは何なのだろう。それは私の大きなテーマでもある。そうした女たちの典型を、私は小林ハルさんにみた。瞽女という苛酷な条件の下で、ハルさんは見事に花を開かせた。(あとがきより抜粋)
  • 母の恋文
    4.0
    著者は大学を出て活字の仕事を望みながら女子の就職先がなく放送という現場で時間に追われるうちに、 両親との距離が開き、四つ年上で中学のときに東京へ行ってしまった兄と話す機会も失われた。 家族のことをあまりに知らなかったことに気付いて、つながる方法を模索し、三人に手紙を書くことを思いついた。 それが『家族という病』の最後に掲載している手紙であり、 『家族という病』を書くことは、著者が家族とつながるための方法だったのである。 さらに、著者は自分の母の死んだ年令に近づきつつあり、自分はどこへ行くのかとしきりに考えていた。 それを知るためには、どうやって自分という生命がこの世に来たのかを知りたいといつしか思うようになっていた。 そんな矢先、夏を過ごしていた軽井沢の山荘で、母親の遺品が何箱かあることに気付く。 恐る恐る開けてみると、著者が子供の頃書いた日記などにまじって、たくさんの手紙らしきものが見つかった。 何気なくその一枚を手にして著者は驚く。 それは、結婚前に母が父に送った手紙だった。 それを読むと、二人共再婚で、二年間百通近い手紙のやり取りをして結婚に至ったらしい。 母は生地の上越、父は今の中国の旅順と海をはさんで結婚まで、一度もあったことがなかったのだ。 読み進むうちに、著者の知らない事実が明らかになり、想像もできない情熱的な母を発見することになった。 著者が母親の強い意志のもとに生まれたことも。
  • ロミは鳥になった
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    子供のいない夫婦と最愛のネコとの心温まる日々、ふとしたことから二人の生活に入り込んだ手のひらに乗るほどの小さな命は、すぐにかけがえのない存在となり、〈3人暮らし〉の甘美なる日々が続く。しかし、蜜月の日々に予期せぬ不幸が。突然に死が訪れた。 ●私と夫と、それぞれが暮らしているなかにロミがいる。 それまではなかった家のなかの共通の話題と関心事が、いやおうなくできたのだ。 ―― いつしか私と夫とのあいだも、話題はロミしかなくなってきている。 言い換えれば、私と夫との絆はロミということになる。 「子供は夫婦の絆」という人々を笑うことはできない。子供なら成長して離れていくが、猫はずっといる。いつまでも2人の愛情の対象のまま変わらない。 ―― 「もし、ロミがいなくなったら」と考えるだけで気が狂いそうだ。いなかったときには考えもしなかったのに、ロミのいない生活なんて、いまでは考えることができない。 かつては完全に平行線の暮らしが2つあったが、ロミをあいだにはさむことで、どこかで交差し、形態が変わってきている。 ―― 本文より抜粋

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