一読者さんのレビュー一覧

絵の魔力が凄い

悪魔的な店主とその店の繰り成す、恐るべき異形たちの物語。癖の強い作風であるが、怪なるもの、異なるものを魅せる絵の力が凄く、引きずり込まれるようであった。

明暗のまだらに眩く怪談小説

以前購入した、怪談ラジオコミカライズからのリンクで購入。
一種の陰影法の告発であろうか、終盤に向けてもつれ合う「真実」の騙し絵の連続には理解が追い付かない所もあったが、何よりもまず、靄々とどこか不安になる好みの怪談集として読めた。

真っ直ぐなる筆で語られる戦国絵

新田次郎の作品はこれと有名な八甲田山〜を読んだきりだがこちらの方が好みであった。表題作の、何ということもない筋立てだが素朴で素直で気持ちの良いキャラクターと少しの寂しさを滲ませる幕切れが忘れ難い。

良質な怪談集

絵柄が好みだったので試し読みを経て購入。大元の怪談ラジオは寡聞にして存じ上げないが、「霊能者　尻に出てきて　弁を打ち」の怪談が好みでないので、基本的に因果因縁がはっきりと明かされぬまま不気味な余韻を残して溶暗する収録話群は、淡々と得体の知れない空気を醸すに長けた作画者の筆致と併せて、非常に好みであった。（唯一「で、どうする？」のみはむしろその因果因縁こそが前に出た話であったけれど、味変的に面白く読んだ）
「これで終わり？」となる物足りなさも感じないではないけれど、くどくどしい怖い話を好まぬ私のような読者には、この塩梅がちょうどいい。続刊があるなら読んでみたい。