• 東京娼女

    東京娼女

    小説・文芸
    3.9
    (26)
    購入済み

    インクロファンでないと

    大ヒット携帯小説インザクローゼットのスピンオフに当たる本作ですが、インクロファンの方以外にはオススメしません。
    携帯小説は思いつきとノリで書かれても媒体上楽しめるものですが、長編の単行本として考えた時、作者の構成能力のなさが浮き彫りになり、読んでいて非常にテンポが悪い。
    起承転結の転が物語の半分くらいのところにきてしまっているので、残りの部分はダラダラと話がとっ散らかり、主人公の行動原理が明確でない。
    インクロシリーズはキャラクターの良さというのが一つの魅力なので、本作においてその良きキャラクターであった中川佐和子の崩壊っぷりが悪い意味で際立っている。
    カタルシスがないというのは読んでいて辛いものがある。救いがないのはインクロも本作も同じだが、境遇において元々何も持たざるものであったレイナが主役のインクロより、富める者から自分の主義に則った結果悲惨な結末を迎える本作の方が、やり場のない感情を抱かざるを得ない。
    レイナは焼身自殺することでけじめをつけカタルシスを得たが、本作はまだどこどこまでも続く深い闇の入り口であり、溜まった他のキャラクターへのヘイトも解消されぬまま、ぶつ切りにカットされたように終わる。
    主人公の立場の変化に従って、生活描写にツッコミどころも多く見受けられる。作者の社会的経験のなさが良く伝わる。そういった意味では物知らずの作者自身が虚構を重ねるレイナみたいなものだろう。
    そもそもインクロを読んでいないと描写的に分からない部分もあるので、未読の方には最初にも書いたがオススメしない。

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    2022年01月07日