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『この色』から『くちなし』へ
webで連載していた『この色、いいな』では風景と衣装との調和を重視した写真が多い。堅実でありながら独特な美的感覚によって構成された画面の中で上田麗奈もまたそれらの要素のひとつとして佇んでいた。カラフルな花柄の散らされたコンクリートの壁にお腹をぴったりとつけてシースルーのブラウスの、白地に淡い色の点々と浮かぶ背中をこちらへ向けている第一回での写真がすでにこの調和への志向を象徴している。
それに対して『くちなし』は上田麗奈と風景との戦いだ。もちろんこの戦いは風景との違和感として立ち現れるのではない。ディテールの洗練度は上がり色彩と造形の統一はさらに濃くなっていく。しかしそこには今までにはなかった表情/感情が全面化する。それは「大嫌いで大好き」な富山へ向けられたものかもしれないし『〈harmony/〉』という作品で御冷ミァハを演じるときに感得したという孤独と同質のものかもしれない。いずれにせよこのような表情/感情は風景を従える。そうして今度はそれらが強い力となって上田麗奈の中を走り出すのだ。
この『わすれな』の前半は『この色』後半は『くちなし』を意識されている。前半はとても癒される藍色の着物と灰色とセピア。後半は怖ろしくなるほど妖艶な青の世界。どちらも素晴らしいが後半の渦巻く流れを背後にした表情が凄かった。
第二写真集も期待。