• わたしの幸せな結婚

    キャッチコピーに偽りあり

    まず、紹介文と中身が合っていません。美世は「誰にも必要とされない少女」と紹介されていますが、実際には幼馴染の幸次が味方でいてくれますし、使用人の花も美世をかばってクビになっています。味方が二人もいるのに「誰にも必要とされない」はおかしいです。看板にしている設定からして、中身と食い違っています。

    話の中身も「なんで?」と思う場面ばかりでした。

    婚約破棄の場面がおかしいです。この話では、家の当主の命令は絶対で、結婚も当主が決めます。美世の嫁入りも、父親が命令して決めました。それなら、婚約をやめさせたいときも、父親が「やめる」と言えば終わりです。なのに一巻の最後で、妹の香耶は美世をさらって「婚約を破棄して」と本人に迫ります。父親に言えば済むことを、なぜわざわざ誘拐してまで本人に言わせるのか分かりません。

    さらうタイミングもおかしいです。美世をさらった側の辰石家の当主は、もともと美世に目を付けていた人物です。美世を手に入れたいなら、美世が久堂家に嫁ぐ前、まだ斎森家にいたころにさらえば済んだはずです。それを、美世が久堂家に移り、清霞からプロポーズの意味の櫛までもらった後になってから動いています。軍人の清霞のそばに置かれ、守られるようになってからさらうのは、一番難しくて一番うまくいかないやり方です。

    ヒーローの清霞にも引きました。清霞は初めて会った美世に「出て行けと言ったら出て行き、死ねと言ったら死ね」と言います。この言葉を後で謝ることはありません。死ねと言ってきた男に、ちょっと優しくされたくらいで好きになる話には、まったく共感できませんでした。

    設定と山場が噛み合わず、悪役は都合のいい時にだけ動き、ヒーローの暴言は放置されたまま。正直、素人の投稿作でも、ここまで筋の通らない話はなかなかありません。商業出版された本としては、あまりにお粗末です。漫画はよかったです。

    #怖い

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    2026年10月23日