あらすじ
大注目の音楽ユニット「三月のパンタシア」のボーカル初小説! エモさ120%の青春音速ストーリー。
高校三年生の5月、父の仕事の都合で隣町へと引っ越してきた心音。人付き合いが苦手で言葉がつっかえやすいことから、転入先でも孤独な日々を送っていた。ある日海辺で、亡き母が大好きだった曲『やさしさに包まれたなら』をギター片手にひとりで歌っていると、突然、男性から「俺と、歌ってくれんか! 」と声をかけられる。慌てて逃げだした心音の前に、翌日、制服姿で現れた彼は、強引に心音の手をとって駆けだす。連れていかれた先は、彼がギターを務めるバンドの練習場で――!? 友情、初恋、家族、夢……。“言いたくても言えない”思春期特有の甘くて切ない気持ちを瑞々しい筆致で描き切った、青春音楽グラフィティ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
(すみません、正直に私が思ったことを書くのでもしかしたら不快な思いをされる方もいるかもしれません)
音楽や歌の才能はあるが活躍の機会のない主人公が居場所を見つけて、羽と力を伸ばしていくスポ根みたいな構造の小説。
普段、歌詞を作られたり音楽に携わっているからか、地の文や描写や曲を作っていく過程が細かく描かれていてよかった。
ただ反対に会話文はところどころ流れとして引っかかったり急展開な印象を受けたりと全体的に書きたいものに筆力が追いついていないのを感じた。
細かい気になる部分を言えばキリがないが一番気になったのは主人公の人前で喋れないことに関してで、初めはこれはライフハックだとか言いつつもいざバンドに誘われたら仲間とはすぐに話せたり、教室にギターを持っていけていたり、まだそこまで仲良くなっていないバンドの人に前の辞めたボーカルの人という話題にすぐに触れられていたりと割と乖離を感じるシーンが多かった。特にすぐに話せるようになったり、バンドも断らなかったりといった今までの生き方やライフハックを一変させることに戸惑いがなかったりした事は、それまでの人生を簡単に否定しまっているようで悲しかった。そんな簡単に捨てられるものだったんだろうか。
あがり症の治ったタイミングや主人公が恋に落ちたタイミングも私には分からなかった。主人公の相手が母親に雰囲気が似てるから歌えるようになったのは納得感があったが、だからって好きになるのは違う気がし
た。その後でだんだんと相手の魅力にも気付けるシーンが多かったが自覚した段階ではそこまでのことは分かっておらず主人公の若いが故の惚れっぽさなのかと邪推してしまった。
最後のどんでん返しというか伏線の回収はとても鮮やかだったが、誰も主人公の夢を否定しないといったご都合主義的展開にも目がいってしまった。個人的にもっと音楽をすることへの葛藤が欲しかった。
また最後の方にかけて主人公の気持ちの持ち直しが早すぎると思える場面も多かったのも気にかかり、設定やキャラを使いきれていない印象を受けた。
それでも綺麗に風呂敷や物語を畳みきっておりすっきりした読後感だった。
Posted by ブクログ
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初めての、みあサン
登場人物達の高校生という年齢から発散される、
圧倒的な瑞々しさと繊細さと強さ。
そして、どんなことも余すこと無く吸収する
柔軟性が鮮やかに書き紡がれた小説でした。
何かを信じる心の強さがあまりにも眩しくて、
例え物語の中だとしても、それらを追体験できた
時間はとても愉しいものでした。