感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
空想のインタビューを覗き見るワクワク感が堪らない。アトリエに、書斎に、あの聖地に。
アート界、芸術界が誇る20名の巨匠を巡って取材を敢行する。
河井寛次郎の「柿は驚くべき誠実な彫刻家だ。」も、手塚治虫の「一流の音楽を聴け、一流の芝居を見ろ、一流の映画を見ろ、一流の本を読め。そして、それから自分の世界を作れ。」も、フィンセントのアーモンドの花言葉も。
クラムボンはかぷかぷ笑うし、ルーシーの抹茶も、司馬江漢の自作の死亡通知書も、ビアズリーとギャルソンも。
もう随所でマハさんのアート愛が溢れて止まらない。
2022年、既に1番いい宝物みたいな出会いをしてしまった。
Posted by ブクログ
『原田マハ:才能のすべてを凝縮した妄想短篇集』
京都で開催された展覧会の「発展的資料」作品。小説家、キュレーター、エッセイストとしてのすべての経験をギュッと凝縮した妄想インタビューが20篇!この本を片手に、展覧会に行きたかったな〜。
Posted by ブクログ
2019年に京都の清水寺でマハさんが監修した「CONTACT展」(展覧会)が開催され(見にいきたかったなぁ)、本書はその展覧会の為に書き下ろされました。
今は亡き人も含め、20人の巨匠にマハさんがインタビューを行う形式で構成されています。
アート関係の小説が代表作であるマハさん。
本作はある意味でマハさんが最も書きたかった作品のような気がしてなりません。
過去の作品で主人公として描かれるのは巨匠たちの側にいる女性たち。
なぜなら、それは私の化身だからです。
憧れている画家たちについて書くからには、私自身がその人に自己投影できる存在にしたかった。
(モネのあしあとよりP 112)
でも本作は違います。
マハさん自らが巨匠とコンタクトし、短い時間ではありますが語らいます。
マハさん自身がそれぞれの巨匠にセレクトした手土産持参して、同じ空間で景色を見ながら聞きたかったことを聞き、心を通わせる。
確かにこれもマハさんの空想の世界です。
しかし、当時の時代背景や自然(温度・空気・草花等)のみならず様々なリサーチに裏打ちされた2人っきりの空間にはリアリティがありました。
本作を手にした読者と共にマハさん自身も幸せな時を過ごしたんだろうなぁ。
説明
内容紹介
ポール・セザンヌ、アンリ・マティス、バーナード・リーチ、フィンセント・ゴッホ、黒澤明、手塚治虫、東山魁夷、宮沢賢治――。アートを通じ世界とコンタクトした物故作家20名に、著者が妄想突撃インタビューを敢行。いちアートファンとして巨匠たちに向かい合い、その創作の秘密に迫る。自ら初めて手がけた展覧会の為書き下ろした格別な創作集。
著者について
一九六二年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立、フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。二〇〇五年「カフーを待ちわびて」で日本ラブストーリー大賞を受賞し、デビュー。一二年『楽園のカンヴァス』(新潮社)で山本周五郎賞受賞。一七年『リーチ先生』(集英社)で新田次郎文学賞受賞。最新刊は『リボルバー』。