あらすじ
どうして私たちは、ひとりきりで存在できないの。業界関係者の新年会で知り合った作曲家のレイカとアイドルの真子。二人は倦んだ日々からこぼれる本当の言葉を分け合う。気鋭の作詞家初小説。
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Posted by ブクログ
児玉雨子さんの歌詞が大好き。
『とろとろした風に綿毛が舞っている』(p16)
こういう表現が素敵だし、さすがだなぁと思う。
『説明は、他人が知らない言葉を呪文にして威圧している気分になるから、なるべく生活する中で避けて通りたい』(p21)
ここも雨子さんの感受性の豊かさを感じられて良いなと思った。
『わたしをわたしたらしめる何かを誰にも奪われたくない。でも、守ろうとしているそれがわからないままでいる。』(p94)
この小説のタイトルである「誰にも奪われたくない」ってこういう事だったのね。
自分らしさって多分自分が一番よくわからない。
自分らしさを客観的に理解できてる人っているんだろうか。
自分だけの自分らしさ、自分の良いところを大切に守っていきたいけど難しい。
「社会や他者」と「自分」を融け合わせると自分らしさが「奪われる」と感じるのが新鮮だった。
なんとなく形作られてる自分が、他人に同調したり、社会に適応することで「ぼやける」みたいな感覚は私もあるけど、「奪われる」とは思ったことないんだよなぁ。
自分を自分たらしめているものが、詳細はわからないけど明確にある、と感じているからこその「奪われる」なんだろうか。
私は、そもそもあるかどうかもよくわからないって感覚だから「奪われる」感じは無いのかもな。
それとも、社会で自分らしくいるためには自分が削られていってしまうっていう感覚なんだろうか。
また時間をあけて読み直そう。