【感想・ネタバレ】ニセ札鑑定人の贋金事件ファイルのレビュー

あらすじ

30年以上に亙ってニセ札鑑定に携わってきた著者でしか知り得ない贋金づくりの巧妙な手口や犯人と捜査陣との知恵比べなど、事件のウラ話が満載。贋金の歴史をはじめ国内と海外の事例も豊富に紹介されていて、この一冊で贋金づくりの全てがわかる本です。

第一章 時代とともに変わる贋金
一 新しい官銭のたびに出回った私鋳銭
二 江戸時代「藩札」と呼ばれた通貨
三 明治時代の偽造通貨
四 昭和のはじめの贋金事件
五 第二次世界大戦後の偽造通貨事件

第二章 ニセ札を追い続ける通貨鑑定
一 〝変わり種〟といわれるニセ札
二 この世に精巧なニセ札はない
三 ニセ札を追う科学捜査
四 符号で呼ばれる偽造通貨
五 印刷局も知らなかった五千円札のナゾ

第三章 世界各国のニセ札防止策
一 日本銀行券の偽造防止策
二 ポリマー紙幣の登場
三 銀行券に印刷された真偽判別マーク「ユーリオン」
四 新ユーロ紙幣のセキュリティ
五 スーパーノートに破られたアメリカドルの歴史

第四章 戦中戦後を代表する贋金事件
一 まかり通る戦後の私鋳銭
二 ヨーロッパで偽造された東京オリンピックの記念硬貨
三 絵筆で描かれたニセ札
四 支那事変と帝国陸軍のニセ札作戦
五 ニセドルに寄り切られたニセ日本円

第五章 贋金を取り巻くトピックス
一 ニセ札事件で生まれた札が使える自動販売機
二 NHK「歴史への招待」藤田組事件のニセ札分析
三 ニセ札づくりの損得勘定
四 贋金犯罪と刑罰
五 古本屋で目にとめた『日本贋幣鑑識法』

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Posted by ブクログ

数十年にわたり、警察および民間にて硬貨とお札両方の贋金を鑑定してきた筆者が語る、贋金の歴史とその事件簿。

本書によれば、贋金は西暦700年代には既に日本で作られていたらしい。

本物と偽物でどこがどう違うのかのポイントが説明されているのだが、写真が少ないためイメージしずらい。
もちろん写真付きで事細かに説明してしまえば、今後の贋金づくりを助長しかねないという配慮もあって、あえて写真を少なくしているのかもしれないが、使用が終了した貨幣にあっては、もう少し載せてくれても良いのではと感じた。

一方、興味深かったのは、現在「ユーリオン」と呼ばれる世界各国の銀行券で採用されている真偽判別マークは、日本のオムロンが開発したものであるというところ。
コピーマシーンやスキャナーは全て、このユーリオン検知機能が備わっていて、それを感知すると原稿を読み取らない仕組みになっているとのこと。

その他にも実際の鑑定をした筆者ならではの贋金にまつわるエピソードが満載なので、その方面に興味のある人は読んで損はない本だと思う。

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2021年08月19日

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