【感想・ネタバレ】有事の意思決定―――一枚岩の経営チームがリードするのレビュー

あらすじ

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有事には、平時の経営スタイルは、まったく役に立たない!
有事の経営には、刻々と変わる状況に応じて、機動的な計画変更を認めること
が求められる。だが、平時の経営スタイルのままの意思決定で、どうにか乗り
切ろうとしている経営者が多い。
有事には、多角的な視点が有効なため、「スキル、考え方、経験」の多様性が
高い経営陣構成が良いのはわかっているのに、未だに平時のまま。
保身に走る古い体質のままの経営者は今すぐ去っていただき、多様な集団で
、「全社大の変革」に関する明確なゴールが設定でき、自分の行動に決定権を
持つワンチームの経営陣を構築するときである。

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Posted by ブクログ

ハーバード・ビジネス・スクールやMITをはじめ、世界の名だたるビジネススクールの先生が様々なテーマで議論を展開していて、知的好奇心を満たされる本でした。書籍というよりは、ダイヤモンド社が出版している日本語版ハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)と同じフォーマットの本でしたが、通常のDHBRよりも中身が濃密だと思います。また、本書に登場する先生方は、竹内弘高先生以外は外国人ですが、長年日本でも教鞭をとっているということで、日本企業についての肌感覚も十分あり(たとえば何が得意で何が不得意なのか)、日本企業への示唆も説得力があったと思います。

本書は「有事の意思決定」ということで、コロナ禍を念頭に置いてはいますが、確かにこれからの世界経済は、今まで以上に不確実で、大国間の対立など予断を許さない状況がまだまだ続きそうです。そのような状況下で企業の経営者はどうかじ取りをするのか、という意味で、本書に掲載されている様々な領域(戦略、リーダーシップ、イノベーション、デジタル、ファイナンス・・・・・)における知見は直接・間接的に有益であると感じました。

1点細かい点でおやっと感じたのは、副題にある「一枚岩の経営チームがリードする」というくだりです。「一枚岩」という言葉からは、トップだけが考え発言する、他の役員は意見せず黙ってついていく、という古い日本企業のイメージを思い起こさせます。先生方が本書で主張しているのは、経営チームの多様性と、反論も含めてその意見を引き出すトップの力量、そしてそれらすべてを考慮したうえでグレイエリアの意思決定をするのがトップの役割だ、というメッセージではないでしょうか。本書の中には、たしか建設的な対立というキーワードも出てきたかと思いますが、私が本書から得たイメージは、固体としての岩ではなく、パレット上で混ざり合う水彩絵の具でした。いろんな絵の具が混ざることで深い色が出せること、それが経営の質、あるいは有事にも対処できる経営チームにつながる、というイメージを持ちました。まあ、そのような細かいことはおいておくとしても、本書は幅広いテーマが網羅されていて知的好奇心を刺激される良書でした。

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2023年05月08日

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