【感想・ネタバレ】わが青春の台湾 わが青春の香港のレビュー

あらすじ

台湾人の父と日本人の母のもと、日本統治下の台湾に生まれ、東大に学び、戦後は帰郷して台湾独立運動に参加するも、二・二八事件後香港へ亡命――。直木賞作家の波瀾に満ちた半生記(一九二四~五四年)であると同時に、激動の東アジア史の貴重な証言ともなっている。デビュー作「密入国者の手記」を特別収録。〈解説〉黒川 創

【目次より】
わが青春の台湾
二人の母に育てられて/文学少年から政治青年へ/全学連の「種蒔く人」/台湾独立に傾く/さよなら、私の台湾

わが青春の香港
編物に明け暮れた台湾のロレンス/青春の賭けに破れて商人となる/花嫁のいない結婚初夜/小説家を志して再び日本へ

〈特別収録〉密入国者の手記

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Posted by ブクログ

邱永漢(1924-2012)、30歳までの半生記。少年・青年時代の写真が5葉。眉目秀麗。
日本統治下の台湾で育つ。父は台湾人、実母は日本人で養母は台湾人。才気煥発にして、台北高校と東大で学ぶ。戦後は台湾独立運動に参加するが、二・二八事件後に香港に亡命。対日貿易で儲け、香港女性と結婚して一子を得たのち、作家として日本に定住を決めるところで半生記は終わる。
台湾人なのか、日本人なのか、香港人なのか。揺れ動きはするものの、それをプラスの方向に変え、臨機応変に時代の流れに身を任せ、泳ぎ続ける。そのオプティミズムが快い。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

邱永漢といえば金儲けの神様という触れ込みで多くのマネー本を書いていた流行作家というイメージだった。台南に生まれ、日本人の実母を持ち、国民党軍侵攻後の台湾独立を目指した若者であったということが驚いた。安全な海外から台湾独立を叫んでも誰も呼応しないという嘆きには胸を打たれる。王育徳とのつながりも興味をそそられた。

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2023年09月12日

Posted by ブクログ

金儲けの神様と言われる邱永漢先生のエッセイ。
著者は、日本人と台湾人のハーフとして日本統治下の台湾で産まれる。そのため台湾人として育ったが、台湾では日本人と差別されてきた。
教育熱心な母に育てられた著者は成績優秀で東大進学のため戦時中に日本に移住する。東京大空襲、原爆投下を日本で経験し、東大大学院を卒業したのち、故郷台湾に帰国する。

帰国した目的は、台湾人による台湾を建国するため。当時の台湾は、日本統治からやっと解放されたと思ったら、大陸の内戦に敗れた国民党が逃れてきて、日本より更に酷い政治を行なっていた。

仲間と共に台湾独立運動に疾走した著者は国民党に目をつけられたため、香港に亡命する。
台湾の独立を諦めた著者は紆余曲折を経て、香港でビジネスを立ち上げ、香港人と結婚する。

そして、その後は再び日本に渡り、今度は小説家に転身、数々のビジネス、投資を成功させ、金儲けの神様と言われるまでになった。

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2024年04月10日

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