あらすじ
二つの資本主義が世界を覆っている。米国に代表されるリベラル能力資本主義と、中国に代表される政治的資本主義だ。この両者がはらむ、不平等の拡大と腐敗の進行という病弊の根本原因を喝破し、欧米の社会科学界を震撼させたベストセラー。「われわれの未来についての、重要な問題をすべて提示している」ゴードン・ブラウン(元英首相)「経済統計の第一人者[による]豊かな議論だ」ジェームズ・K・ガルブレイス(テキサス大学オースティン校教授)「北京に住むのか、ニューヨークに住むのか、決断のときは近づいている」エドワード・ルース(『フィナンシャル・タイムズ』紙)「この二つの資本主義が世界情勢を支配している。両者の共進化が今後数十年の歴史を形成することになるだろう」『エコノミスト』誌「データの収集、評価において、類まれな最高の経済学者だ」ロバート・カトナー(『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』誌)「現存する(おそらく)唯一の社会経済システムへの理解を刷新しようとする、あらゆる読者、研究者にお薦めする」ロバート・ラコノ(LSEレビュー・オブ・ブックス)
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Posted by ブクログ
21世紀の現在,名目上は共産主義国家も残っているとはいえ,実質的には資本主義しか残っていない。本書では,どんな資本主義体制があるか,そしてそれぞれがどんな特長と問題点を内在しているのか,今現在どうなっているのか,を明らかにしている。学術書の翻訳本ということで読むのは非常に疲れますが,読む価値はあると感じた。
本書で著者は,「共産主義(革命)」は先進国から遅れた封建主義体制国家を民衆主体の資本主義国家に変更させる役目を担っていた,と主張している。現状の結果を見るとその通り。まさに白眉。大変納得した。
Posted by ブクログ
人種、生い立ち、信念や動機が異なっても、
お金や利益の話となれば、すんなりと理解する。
リベラルな能力主義的資本主義:欧米
政治的(権威主義的)資本主義:中国
リベラル資本主義
人的資本の高い労働金持ち=資本金持ち
同類婚が不平等を強化
アメリカの裕福な10%が金融資産の90%を保有
長期収益の資産を多く所有、税金比率が少、参入手数料と管理コストが低い
資本とスキルの平等を授ける資本主義は可能か?
労働組合、大衆教育、税金、政府による所得の移転(年金や福祉)が行き詰り
→中間層を優遇、労働者の資本保有(持ち株会)、相続税、公立教育
現実は、
福祉国家にスキルの低い移民が集まる →政府サービスからの金持ちの撤退
超富裕層からの政治献金 →優位性の保証
高額な私立教育が優位に 高い授業料で最良の教授を集める →公教育離れ
→技術進歩が続く限り、富や教育に基づく部外者に開かれた世界
共産主義
封建制から資本主義への移行システムが共産主義
地主の締め付け、外国による支配を覆す
貧しい国は市場のインセンティブが欠如し 中央計画の利点から恩恵を受ける
中国=資本主義
国政企業20%(1998年は50%)
資本主義=民間の生産手段+賃金労働者+生産や価格設定の決断が分散化
鄧小平 鳥を広々としたかごに入れておく
資本家の利害が支配的な力を持つことを許さず、政策に従い民間を統制
法ではなく、恣意的な意思決定 無法地帯が組み込まれたシステムという矛盾
不平等の全国拡大 たたき上げの資本家階級の台頭
政治的資本主義の特徴
1.優秀な官僚 2.法の支配の欠如 3.国家の自立性
2つの矛盾
1.官僚の管理能力と自由裁量 2.法支配の欠如による腐敗とシステム正当化
政治を経済と切り離し、腐敗の少ない政権を維持できそうな国はほとんどない?
グローバリゼーション=資産の移動+労働の移動
市民権の市場取引 ギリシャ 25万ユーロ、イギリス 200万ポンド
第二のグローバリゼーション 生産の移動 ・・制度の重要性 技術の移転
第三の・・・ ・・労働の移動からの解放?
原子化と商品化 モノやサービス何でも買える 自分の時間も含め何でも売れる
自身が経済媒体=商品に