【感想・ネタバレ】資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資 ——余命宣告を受けた「バリュー投資家」の人生最後の教えのレビュー

あらすじ

本書は、臨太郎さんの「これからの投資家への遺言として作りたい」という願いを形にしたものです。その“遺言”の内容は大きく2つに分かれます。それは、「資産を作るための株式投資」と「資産を遺すための株式投資(※資産運用)」です。それぞれ、簡単に解説します。
資産を作るための投資
話の中心は、ずっと付き合っていけるような銘柄の選び方になっています。すなわち、「生涯パートナー銘柄」の選び方についての話とも言えます。
具体的には、臨太郎さんが昔から実践している、企業の解散価値に注目した「中長期目線のバリュー投資」について紹介しています。なぜ、バリュー投資なのか。その理由はいくつかあります。
◆超二流の投資力で十分(誰にでもできる)
まず、短期投資のように、圧倒的な才能がなくても結果を出せることです。本書の中で、臨太郎さんはバリュー投資に必要な力を「超二流の投資力」と呼んでいます。実際、胃に穴が空くほどのストレスを感じることなく、時間を味方にして資産を作っていくことができます。
◆見るべき指標が限られている(数が少ない)
投資判断をするときには、その根拠となる指標が必要です。投資法によっては、さまざまな指標を確認するものもありますが、中長期目線のバリュー投資では、見るべきものが決められています。詳しくは本書に譲りますが、主なものを上げると以下になります(基本的に「キャッシュがいくらあるか」を見ています)。
◎収益のバリュー
PER(修正PER)&PBR&ネットキャッシュ比率(簿価&時価)
◎財務のバリュー
自己資本比率&流動比率&固定比率
◎事業価値のバリュー
平均経常利益の5倍を確認&定性分析

◆株式投資で増やした資金を別の投資で増やす
本書の中では、インフラファンドへの投資を紹介しています。
資産を遺すための投資
自分の死後、愛する家族が困らないようにするためには、上手に資産を遺す必要があります。家族が投資に精通していれば大きな問題はないのでしょうが、そうでない場合は、いろいろ考えておく必要があります。
◆10年持っていられるような世界トップ企業に投資する
投資のわからない人が持ちっぱなしにしても大丈夫なような、世界トップ企業(世界ナンバー1、あるいは、世界ナンバー2)に投資しておく話を紹介しています。
◆保険について考えておく
「保険も投資の一種として認識し、最低でも、がん保険には入っておいたほうがよい」という話を紹介しています。
◆遺言書について
「“家族のために遺す財産”が家族にきちんと渡るように、遺言書については吟味を重ねておく」という話を紹介しています。

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Posted by ブクログ

石川臨太郎氏は2019年に65歳で亡くなられたバリュー投資家で、この本は資産を作るだけではなく、資産を遺すことやガン経験者としての体験が赤裸々に書かれていて、投資家向けの指南書兼遺書のような一冊に当たります。

石川氏は2005年頃に退職をして専業投資家になられてるので、いわゆるFIREとも通じるところがあるのですけど、仕事を辞めた際の境地も素直に書かれていて参考になる面も多いなと思いました。

仕事辞めてバラ色というFIRE本が洋書含めて多い印象ですけど、現実を知るという意味でも貴重かと考えます。

とくに第3部は書き残しておきたい、伝えたいと思った話が書かれていて、見習いたいと思う点も多かったです。

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2021年05月10日

Posted by ブクログ

一つだけなるほどなと思ったのは、
株価は光が作る影のようなもの、という考え方。

光(需給)の当たり方、強さによって影(株価)は変化する。
影に注目しがちだが、見るべきは建物(本質的価値)である。

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2021年05月03日

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