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Posted by ブクログ
谷崎潤一郎の作品の中でもミステリ系のものを集めた一冊。
以下特に好きだったものについて。
『秘密』
ありきたりな刺激では満足できなくなった男が女装して出歩いたりしているうちに、過去に関係があった女とたまたま出会い、道中目隠しをしたままで逢瀬を重ねるが…
途中までの情熱とラストの呆気なさがとてもよかった。
『途上』
乱歩も好きだったという作品。
プロバビリティーの犯罪。探偵が歩きながらする会話の中でじわじわ追い詰めていく様が好き。
『私』
学生寮で盗難が頻発し、主人公の「私」がどうも疑われているようだが…
嘘はつかずにうまくミスリードさせているところと、人間や人生の不可解さがよく現れているところが好き。
『白昼鬼語』
たまたま拾った暗号文が殺人の計画を話し合うもので、犯行時刻に目印のある家に行き、覗き穴から覗いてみると本当に殺人が行われていて…という話。
なかなかショッキングなオチかとおもいきや…という感じで最後まで楽しめた。
『柳湯の事件』
これが一番好きだった。
一緒に暮らしている女を半死の目に合わせて家を出てきた男が、たまたま入った柳湯の湯船の中に、なにかぬるぬるぶよぶよしたものを触って…という、幻想とミステリが融合したような話で面白かった。
『日本に於けるクリップン事件』
これはクリップン事件は本当の事件で、日本での事件は谷崎の創作ということだよね?
マゾに関する考察も納得がいくものだったし、ラストゾッとする感じもあり、面白かった。