あらすじ
なぜ、今ベトナムが重要なのか?
2020年3月まで駐ベトナム全権大使を務めた著者による核心リポート。〈中国の超大国化と南シナ海、東シナ海における「力」の行使、アセアン分断化等が顕著になる情勢下、東アジア諸国の中で、ベトナムは日本にとって最も信頼できる国となった。ベトナムがより強く、より繁栄した国になることは、ベトナムのために重要なだけでなく、東アジア地域全体の繁栄と安定にとっても重要である。日本はできるだけベトナムとの連携を強化し、発展努力を支えたい〉――。
長年中国と対峙して染みついた「中国を信用してはいけない」というのがベトナムの行動原理。対中リテラシーでは学ぶべきところが多い。ベトナムの歴史から日本が学ぶべき対中国に関する教訓や中国が「敵」に対して駆使する三つの戦法(法律戦、世論戦、心理戦)は必見。
さらに、第二次世界大戦後にベトナムに残留した日本兵の遺児らの墓参についても詳報。さらに、進出日系企業ASEAN1位という経済力など、新同盟国ベトナムを縦横無尽に活写する。
(底本 2021年6月発行作品)
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Posted by ブクログ
梅田前ベトナム大使が、日越関係を中心に、中越の複雑な関係も含めて歴史、文化、政治、経済、安全保障の各分野から分析を加えるもの。広範な戦略的パートナーシップを標榜する日越関係の今が手に取るように理解できる良書。
Posted by ブクログ
★ ベトナムの対外政策の基本は、ASEANに軸足を置きつつ、全方位外交を推進すること。
ASEANの中で全体を引っ張る立場になっており、その存在感を高めている。
しかし、カンボジアが中国の代弁者として拒否権を行使している。
Posted by ブクログ
2020年まで駐ベトナム全権大使の任に就いていた外交官のベトナム評。
日越間の歴史的関係や、残留日本兵、ODA事業、在日ベトナム人労働者、ベトナムと中国の比較、など幅広く記載されており、非常に興味深かった。
安倍総理の初の外国訪問先、菅総理の初の外国訪問先、平成天皇の最後の外国訪問先はいずれもベトナムであり、日本が重要視している理由の一部を知ることができる。