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Posted by ブクログ
久々ジョン・ハートの新作がよーやく回ってきた。
質量ともに読み応えバッチリ!軽く読み流す小説ではないけど、それなりに時間をかけてじっくり読む読書は最高の至福、その贅沢な時間を与えてくれる作品って意外と少なく、安定して供給してくれる作家はさらに少ない。
ジョンハートは貴重なその一人だということ。
主人公ギビーが少年から大人に変わる儀式の飛び込みシーンとその兄ジェイソンが刑務所から出所するシーンから物語は始まる。2人の兄ロバートはベトナム戦争で戦死、その影響で母はギビーを異常なまでの過保護に扱い、反抗的なジェイソンは毛嫌いされる。そんな家族にバランスを取ろうと苦心する父。
ギビーの青春譜が描かれていくのかと思いきや、ジェイソンに関わる不審な動きが徐々に物語に入り込み、刑務所にひそかに暮らす悪の大御所、変態シリアルキラー弁護士、出世欲にくらむ警察官などが絡み、ベトナム戦争終焉当時の病み混乱したアメリカの病みの部分を照らし出す。
それでも、さすがはジョンハート、少々残虐なシーンやこんなのも書くんか?と驚きのアクションシーンも経つつ、物語の落としどころは少年が大人になりゆく成長譚と家族愛の物語。涙を流して感動するような荒っぽさではなく、ジワジワシミジミ効いてくる感動が良い。
色々感動的な場面はあるが、ジェイソンの名前を聞いて即座に敬礼を返す兵士のシーン、主人公の親友の母が晩御飯を一緒に食べるよう促すシーン、最後あの岸壁から高飛び込むを決めるシーン(飛ぶはまさかの)は良かった。
次の翻訳が待ちきれない!ジョンハート、最高である。
Posted by ブクログ
時は1972年、ベトナム戦争の最中。
双子の兄を持つギブソン。
優しくヒーロー的存在だった上の兄ロバートは戦死。
一方下の兄ジェイソンは、ロバートを追うように戦地に赴いたが、不名誉除隊処分を受け帰国後薬物に溺れ服役。
2年の服役期間を終えたジェイソンが街へ戻ってきた。
素行の悪いジェイソンをギブソンに近づけたくない父母、ジェイソンに対する少なくない恐れを感じながらも血の繋がり故の湧き上がる親近感を拭えないギブソン。
物語の書き出しがうまいなぁ。
家族の分裂と兄弟の友愛、そのすき間に仕組まれた犯罪により深まる溝。
弟に見せる親愛の情、悪に染まりきっていない言動を見れば、どこかに誤解があることはわかる。
ただその誤解がうまいこと解かれる方向には進んでいかず、いじらしい展開。
悪の絶対王者、二流シリアルキラー、黒幕二人の自己満行動で物語をたたみにいってしまうのがちょっと残念な方向性で、星5にはできないところ。
Posted by ブクログ
読み逃していたジョン・ハート第二弾。
海兵隊員だったジェイソンのベトナムでの行動は立派だけど、Xの正体は最後まで明かしてもらえないのね。それがストレスだったかな。