あらすじ
恥じらいながら、生まれたばかりの透明な素肌を露にする愛の女神ヴィーナス、恍惚としてひとり横たわるマグダラのマリア、近代をとりこにした東洋の女奴隷たちの妖艶な姿態―西洋美術の世界を彩る美しいヌードが大集結。性のモラルの厳しいキリスト教社会で裸体を描くことがどうして可能だったのか? その多くが神話や聖書を題材とするのはなぜか? ボッティチェッリ描くヴィーナスのお腹が膨らんでいるわけは? いくつかの鍵を用いて読み解くと、魅惑的な姿に秘められた謎があざやかに浮かびあがる。カラー多数。200点以上の図版とともに楽しくアートの世界へ誘う極上の美術案内。
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Posted by ブクログ
借りたもの。
文庫サイズながらカラー図版を多く掲載し、西洋美術史のヌード表現の変容、主題解説、鑑賞のポイントを紹介している。
読んでいるとそこに一貫して流れているというべき官能表現――性愛の歴史――に魅了される。
「愛」という抽象概念(性愛、精神的な愛、禁断の愛)の体現から、強姦、浮気、不倫、売春の描写、恋愛物語に同性愛、少年愛……
ポルノグラフィティ的な要素、タブー視されたものののぞき見的なものも否めないが、愛にまつわる悲喜こもごもが人の心を揺さぶる事を色香と共に匂わせてくる美術たち。
様々な愛が主題の物語や、寓意であればそれが何を示しているのか、その魅力が言語化されている。
その絵画が描かれた時代背景、道徳観、歴史的事件なども併せて紹介し、現代との違いや普遍なものを考えながら読むのも楽しいと思う。
Posted by ブクログ
あまり美術館ではまじまじと見れないようなヌードの絵画を多数取り扱った本。
官能・ヌード≒女性となるのは長年美術界が男性によって支配されてきたこと、そして神話・宗教においても男尊女卑であるが故なのだなぁと思う。そういう意味でも興味深く読むことができる。