あらすじ
「平和憲法」を掲げながらも、軍事化が進行し、戦争に加担する国へと変貌しつつある日本。それでも、国際社会で起きている戦争は他人事でよいのだろうか。イラク戦争以後、暴力の連鎖が続く現地で人道支援活動を続ける著者が、自らの体験をもとに、戦争のリアルな実態を伝え、平和をどう築くかを問う。護憲の、さらにその先へ。
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Posted by ブクログ
2004年、イラクのファルージャで人質となった高遠菜穂子さんの著書。イラク戦争の経緯と今に至るまでの報復の連鎖が分かりやすく語られている。高遠さんを拘束した地元の武装勢力の人々との会話を読むと、自己責任論でバッシングする日本人より遥かに人間性がある気がする。著者が語るように、武装勢力には殺されず、武器を持たない同胞に殺された、という感じ。
全部アメリカの言いがかりが悪いんじゃないか、という気がしてくる。そしてそれに乗っかるだけで検証しない日本。情報鎖国の日本。日本人には、軍事大国となりはてた日本の姿が見えていない。報道されず、知らない人々。イラク戦争を知らない若い世代は、一昔前よりも戦争を身近に捉え、ワールドワイドに活動するチャンスがあり、知りさえすれば状況を変えていくエネルギーに溢れているという。日本が軍事国家と化したからこその当事者意識もあって逆説的だが、私も彼らに期待したい。