あらすじ
なぜ神々は傍若無人に振る舞うのか ?
信じるだけでは救われないのか ?
多神教から一神教、東洋宗教、無神論まで、
神話を切り口に、宗教の歴史と今をやさしく解説。
人気の著者の書き下ろし。
なぜ古代の神々は浮気性で闘争心が強いのか。
全知全能の絶対神はいつどのように生まれたのか。
なぜ神は人間に苦難をもたらすのか。
なぜ東洋では神頼みせず黙々と修行するのか。
なぜ現代に反知性主義が跋扈するのか……
誰かに話したくなる一生ものの教養が身につく。
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Posted by ブクログ
宗教って前から興味があったけれど、なかなか不気味で難しいテーマで、手を出しにくかった。この本はとてもわかりやすく深堀りしてくれている。広く、深く、宗教や信仰心に触れられる良い本だと思う。
現代では、宗教や神話のエッセンスは、小説や児童文学やアニメなどに息づいているとのこと。村上春樹、宮崎駿、ハリー・ポッター、などなど。確かに現代版の神話となっている感がある。
多神教は農業から生まれたという。農業という新しい厳しい環境から、その時代の人々の想像力によって、拠り所として生み出された神様たちとその物語。
多神教の神々はとても個性的で面白い。あまりにやんちゃで奔放すぎるので、しばらくすると筋の通った全知全能の絶対神を求める声が強まって、一神教が生まれたという。なるほど。
昔の聖職者は、精神的な役割だけではなくて、技術的な役割も担っていた。農業や医療の場で、具体的に行動をしていた。今では科学者や医学者がいるので、聖職者の役割自体が変わったのだという。
昔は今よりも社会が混沌として理不尽だったので、来世に託すという思想がないと、やってられなかった。社会が安定して、今生きていることに幸福が見いだせると、来世よりも現世にフォーカスできるようになる。
それでも、あやしい呪術的なものを信じてしまう人間の性からは、これからも自由にはなれないらしい。確かに、STAP細胞騒ぎとか、オウム真理教とか、挙げたらきりがない。